レポート栗本建設工業株式会社

2009/06/04

TDB企業コード:580048348 大阪府大阪市西区 中堅ゼネコン (株)栗本鐵工所子会社 民事再生法の適用を申請 負債146億円

TDB企業コード:580048348

「大阪」 東証・大証1部上場の(株)栗本鐵工所の連結子会社、栗本建設工業(株)(資本金39億円、大阪市西区南堀江1-11-1、代表中潤也氏、従業員206名)は、6月4日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日、保全命令を受けた。

 申請代理人は野城大介弁護士(大阪市北区堂島浜1-4-16、電話06-6346-2970)ほか。監督委員には石井教文弁護士(大阪市中央区高麗橋4-4-9、電話06-6208-8771)が選任されている。

 当社は、1946年(昭和21年)4月、(株)栗本鐵工所の建設工事部門が分離独立して設立。一般住宅、ビル、マンション、工場等の建築工事を中心に手掛ける地場中堅ゼネコンで、93年3月期には年売上高約508億6000万円を計上していたが、以降は業界不振や同業間の競争激化で売上高が漸減、99年3月期には約373億2400万円にまで減少していた。その後は、無添加住宅の積極的な営業展開やマンション・ビルの受注拡大で業績は回復、2004年3月期にはピークとなる年売上高約667億3400万円を計上していた。

 ところが、この間の2003年3月には民事再生法の適用を申請した(株)セザール(東京都品川区)に24億4800万円の不良債権が発生。2003年9月中間決算で159億6200万円の純損失を計上し、130億5400万円の債務超過に転落。同状況を解消すべく、2004年1月には減資と(株)栗本鐵工所向けの115億円の増資を実施。(株)栗本鐵工所100%出資子会社となり、信用補完を図っていた。その後は2004年3月に本社不動産一部売却、2007年3月、11月には賃貸用不動産、社員寮を売却するなどリストラを実施。2008年4月には(株)栗本鐵工所を割当先に50億円の増資を行っていた。

 しかし、受注選別や同業間の更なる競争激化で、再び売上高がジリ貧となり、2008年3月期には年売上高が約431億9900万円に落ち込むなか、近藤産業(株)(大阪市、2008年5月破産)、愛松建設(株)(愛知県稲沢市、6月民事再生)等に多額の不良債権が発生。これを受け、同年10月には財務の健全化、経営の安定化を目的に会社分割を行ったが、その後、当初見積りを上回る不採算工事物件の完工が続いたこと、また、2009年6月初旬に大口工事債権の回収見通しが困難な事態などが発生し、今後の資金繰りの目処が立たない状況となった。親会社の(株)栗本鐵工所は、これまでに増資引受、直接貸付等の資金支援を行ってきたが、現状で当社の収益改善の見通しが立たず事業継続は困難であると判断し、今回の措置となった。

 負債は(株)栗本鐵工所からの借入金55億3300万円などを含め約146億円。

 6月8日(大阪)、9日(名古屋)、10日(東京)に債権者説明会を開催する予定。