レポート株式会社カナサシ重工

2009/04/10

TDB企業コード:420268374 静岡県静岡市清水区 造船業 会社更生法の適用を申請 負債201億2000万円

企業コード:420268374

「静岡」 (株)カナサシ重工(資本金3億円、静岡市清水区三保491-1、代表片上久志氏、従業員140名)は、4月10日に静岡地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は洞江秀弁護士(静岡市葵区八千代町24-9、電話054-272-8660)ほか3名。保全管理人は青島伸雄弁護士(静岡市葵区呉服町1-1-14、電話054-255-2819、カナサシ重工内保全管理室電話054-334-5151)ほか1名。

 当社は、1999年(平成11年)2月の設立。1903年(明治36年)3月創業、36年(昭和11年)9月に法人改組し、88年9月に会社更生法の適用を申請した造船業者(株)金指造船所(現:(株)豊橋造船、旧:(株)カナサシ)が前身で、同社の更生計画の変更による同社清水工場の分社化によって発足した。近年は、新船建造、船舶修繕を主業とするほか、貯水槽などの鋼構造物を製作する陸機工事部門を併営し、近海貨物船やタンカーなどの商船、官公庁向け調査船や水産学校向け実習船などの漁船を建造する新船部門が約80%、船舶修繕と陸機工事が各10%の比率で、2008年3月期には貨物船・タンカーなど5隻の新船建造が寄与し過去最高となる年売上高約102億4800万円を計上していた。

 しかし、この間、更生計画変更の条件でもあった「黒字維持」が、2005年3月期、翌2006年3月期の大幅な連続欠損で途絶え、それまでの内部留保の流出を余儀なくされていた。貨物船など商船部門への進出は、売上規模を拡大した反面、生産ロスの発生や原材料価格の高騰による借入金の増加を招いていたほか、2004年に実施した旧カナサシからの完全独立にあたり、本店不動産や諸設備、子会社株の購入に伴う資金需要の発生から余裕のない資金繰りが続いていた。

 こうしたなか、2009年3月期末時点で700億円超の受注残を確保し2010年3月期以降は黒字化を見込んでいたが、損益面の改善見込みは立たず、昨年来の世界的な金融危機などを背景に取引行の支援姿勢が硬化。追加融資が得られなくなったことで3月末以降の支払についてメドが立たず、4月1日から工場の操業を一時停止していた。その後は、静岡市をはじめ各方面に支援を要請、同市はメーンバンクに「特別の配慮」を求める要望書を提出したほか、緊急の支援策を講じるなどして支援姿勢を表明。当社も13日から工場の操業を再開する計画であったが、自力での再建は困難と判断、今回の措置となった。

 負債は約201億2000万円。