レポートアイピーモバイル株式会社
TDB企業コード:987396504 東京都千代田区 携帯電話事業へ新規参入を目指した通信ベンチャー 自己破産を申請 負債9億円TDB企業コード:987396504 | 東京都千代田区 | 携帯電話事業へ新規参入を目指した通信ベンチャー 自己破産を申請 負債9億円
「東京」 アイピーモバイル(株)(資本金33億5000万円、千代田区平河町2-7-4、代表杉村五男氏)は、10月30日に東京地裁へ自己破産を申請した。
申請代理人は近藤節男弁護士(千代田区丸の内2-4-1、電話03-5220-7738)ほか1名。
当社は、無線IP通信事業を目的として2002年(平成14年)11月に設立された。次世代通信規格であるTD-CDMA方式を利用したワイヤレス通信事業を行うべく、2005年11月にはソフトバンクやイー・アクセスとともに総務省より特定(携帯電話)基地局開設計画の免許の交付を受け、携帯電話への新規参入企業として、話題となった経緯がある。TD-CDMA方式とは周波数効率が高く、現在実用化されているモバイル通信技術と違い既存のIPネットワークを利用できる点が特徴で、当初は2006年10月のサービス開始に向けて営業準備を進めてきたが、事業計画の見直しや設備資金不足もあり延期せざるを得ず、今春へサービス開始を延期していた。
しかし、基地局整備などに必要な資金調達が難航し予定通りのサービス開始には至らず、携帯電話事業への新規参入を断念するとの一部報道も流れるなどしたが、今年4月には、設立以来当社の筆頭株主であった親会社から森トラスト(東京都港区)へ全株式が譲渡されていた。
さらに8月には、モバイルブロードバンドの半導体製品などを製造する米国企業のNext Wave Wireless LLC社が筆頭株主に変わっていたが、9月には再び筆頭株主がNext Wave Wireless LLC社から森トラストへ戻るとともに、いったんは代表取締役社長を務めていた杉村五男氏が取締役会長へと退いていた。しかし10月2日に開催した臨時株主総会で森トラストの保有株式を杉村五男氏へ譲渡するとともに、杉村氏が社長へ復帰することが決議されるなど、経営体制も迷走を続けていた。
免許交付から2年以内にサービスを開始しなければならないため、今年11月までのサービス開始の実現性が注目されたが、これが困難となったため、10月30日、総務省に携帯事業の免許を返上し、今回の措置となった。
負債は債権者約110名に対し約9億円。