レポート株式会社ノヴァ

2007/10/26

TDB企業コード:581691506 大阪府大阪市中央区 語学スクール最大手 ジャスダック上場 会社更生法の適用を申請 負債439億円

「大阪」 ジャスダック上場で、英会話など語学スクールの業界最大手、(株)ノヴァ(通称名:NOVA、資本金50億1020万円、大阪市中央区西心斎橋2-3-2、代表吉里仁見氏ほか2名、従業員2190名)は、10月26日に大阪地裁へ会社更生法の適用を申請した。

 申請代理人は木村圭二郎弁護士(大阪市中央区北浜3-7-12、電話06-6222-5755)ほか。同日、保全管理人に東畠敏明弁護士(大阪市北区西天満4-7-1、電話06-6365-7778)、高橋典明弁護士(大阪市北区西天満1-10-14、電話06-6366-0015)が選任されている。

 当社は、前社長の猿橋望氏が英会話塾として創業した(有)ノヴァ企画(1981年8月法人改組)の業務を移管するのに伴い1990年(平成2年)8月に設立(登記上の設立は1974年5月)された。第1号店は81年9月に大阪・心斎橋に開設した「駅前留学」で、語学スクール業界の中では後発組にあたるが、駅前や駅上という好立地に教室を構える「駅前留学」や、テレビ電話などを通じ自宅で24時間レッスンが受けられる「お茶の間留学」などを主力に、2~12歳の児童を対象とした「NOVAKIDS」、海外7カ国44校などと提携した「海外留学サービス」などを展開、全国の主要都市などを中心に拠点を広げた。

 96年11月に株式の店頭公開(現・ジャスダック)を果たして以降は出店ペースを加速させ、「大量購入割引制度」を中心とした低額なレッスン料金を最大のセールスポイントに、「NOVAうさぎ」のキャラクターを含めた積極的なテレビCM戦略なども奏功し、2005年3月期の年収入高は約701億3900万円を計上。2006年3月末時点では語学スクール業界において「受講生数で約64%、収入高で約47%」という圧倒的なシェアを獲得し、全国994拠点(同期末時点)を開設していた。

 しかし、その一方で2006年3月期からは、急激な店舗展開によるマネージメント能力低下を背景に、従来の拡大戦略から、収益重視の経営へと転換し、スクールの統合を進め、新店開発を手控えていた。こうしたなか、今年2月に特定商取引法違反の疑いで経済産業省から本社などの立入検査を受けたほか、4月には元受講生が中途解約に伴う受講料の返還を求めた訴訟で、最高裁が当社の精算方法を「違法」との判断を示し敗訴。2007年3月期の年収入高は前年比16.6%減の約558億5500万円、最終損益も約28億9000万円の欠損で連続赤字となり、金融機関からの追加融資も困難な状況に陥っていた。

 6月13日には経済産業省から「違反行為は組織的で悪質」と新規勧誘停止などの行政処分を受けたことから、資産売却を進める一方で、他社や投資ファンドとの資本提携などを模索してきたが、潜在的な中途解約金の問題もあり、いずれも奏功せずに頓挫。全国で教室の閉鎖や自主休校が相次ぐなか、10月25日になって臨時取締役会で猿橋社長の解任を決議し、新たに3名を代表取締役に選任するとともに、生徒らの保護に向けて法的手続きによる再建を選択した。

 負債は約439億円(2007年7月末時点)。

 なお、今年に入って上場会社の倒産は、(株)クインランド(大証ヘラクレス、兵庫、10月、民事再生法→破産)に次いで6社目となる。