レポート株式会社ヒューザー

2006/02/16

TDB企業コード:985884824 東京都千代田区 マンションデベロッパー 耐震構造計算書偽造問題関連 破産手続き開始決定受ける 負債84億3700万円

「東京」1月31日にマンション住民より東京地裁へ破産を申し立てられていた(株)ヒューザー(資本金2億868万5456円、大田区東矢口3-2-1、登記面=千代田区丸の内1-11-1、代表小嶋進〈おじま・すすむ〉氏、従業員15人)は、同地裁より2月16日に破産手続き開始決定を受けた。債権届け出期間は6月30日までで財産状況報告集会期日は9月13日1時30分。

 破産管財人は瀬戸英雄弁護士(千代田区九段北4-1-3、電話03-3239-3100)。

 当社は、1982年(昭和57年)2月に恒和不動産(株)の商号で設立され、85年6月に(株)ハウジングセンターへと商号変更した。マンション販売を中心とした不動産業者で、当初は大手不動産仲介業者のフランチャイズに加盟して販売実績を重ね、東京都及びその周辺地域を中心に、ファミリー向け分譲マンション「グランドステージ」シリーズの販売を手がけていた。

 96年頃からは専有面積100平方メートル以上のマンションを中心とした展開を進め、99年以降は6年連続してマンション1戸あたりの平均供給面積が業界トップとなるなど、同業他社との差別化を図ることで業容を拡大していった。その後、2001年6月に大手不動産仲介業者のフランチャイズを離脱し、同年7月に(株)ハウジングセンターから現商号へと変更し新たなスタートを切った。

 マンション市況の好調と、100平方メートル以上の占有面積がありながら、値ごろ感のある価格という点が受け入れられ、2004年3月期には年売上高約124億6200万円を計上していた。
 こうしたなか、2005年11月17日に国土交通省から、姉歯建築設計事務所(千葉県)により構造計算書の改ざんが行われたマンション・ホテルが多数あることが公表された。この時、公表された21件のうち12件のマンションで当社が建築主として販売にあたっていたことが明らかとなり、入居者、契約者から、売り主の『瑕疵(かし)担保責任』に基づく「契約の解除」や「売買代金の返還」を求められる事態となっていた。

 当初の21件以外にも、全国のマンション、ホテルなどで相次いで構造計算書の偽造が露見し、『耐震強度偽装事件』として社会問題化するなか、1月17日には構造計算書偽造への関与をめぐって、代表の小嶋氏が国会で証人喚問を受けるなど、当社の社会的信用は大きく失墜していた。

 この間、当社は偽造への関与を否定する姿勢を取り続け、1月30日には建築確認の際に偽造を見逃したのは自治体の責任として、東京都、横浜市など18自治体に対して総額約139億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、「賠償金をもってマンションの解体・耐震補強費用などにあてる」としていた。

 しかし、同社の資産散逸を未然に防ぐことを目的に、1月31日にマンション住民より東京地裁へ破産を申し立てられていた。

 負債は、ヒューザーによると第三者破産を申し立てられた時点で約84億3700万円。