レポート株式会社大阪シティドーム

2005/10/07

TDB企業コード:581412431 大阪府大阪市西区 大阪ドーム運営 第3セクター 会社更生法を申請 負債588億円

「大阪」 (株)大阪シティドーム(資本金96億7100万円、大阪府大阪市西区千代崎3-中2-1、代表淡居毅氏、従業員62人)は、10月7日に大阪地裁へ会社更生法を申請した。

 申請代理人は佐伯照道弁護士(大阪府大阪市中央区北浜1-8-16、電話06-6202-9521)。

 当社は、1992年(平成4年)1月に大阪市(20.68%)および大阪府(6.20%)のほか、地元大手企業が多数出資して設立された第3セクター。97年2月に多目的ドーム「大阪ドーム」を完成させ、同ドームの経営および売店・飲食店の経営を手がけていた。

 97年4月に(株)大阪バファローズ(当時・近鉄野球(株)、2005年3月解散)が本拠地を藤井寺球場から大阪ドームに移転、98年3月期には年収入高約91億3000万円を計上していた。

 しかし、見込んでいた式典・展示会やコンサート需要が振るわず、来場者数は減少傾向をたどっていた。当初目標としていた稼働率80%、年間集客数6000万人に及ばず稼動以降一度も経常・当期ともに黒字を計上できず赤字が続いていた。

 このため、2001年2月には大阪市が「20年間元金据置の30年償還、年利0.25%」という低金利で2001年~2017年度に約147億円を貸し付け、2017年度までに約46億円の補助を決定して支援に乗り出していたが、2004年同期の年収入高は約54億4200万円にまで落ち込み、同期末で約234億6800万円の累損を抱えていた。

 この間、2003年12月に総務省が「第3セクターに関する指針」を改定し、「問題解決を先送りすることなく、法的整理を含め抜本的な対応を行う必要がある」とするなど、各自治体が第3セクターの再建・整理に乗り出した。

 こうしたなか、当社は2004年11月に大阪地裁へ特定調停を申し立て、当社は大阪市にドーム施設を売却し、その代金を返済に充てたうえで残債務の免除等を要請するとしていた。

 ところが、球団の経営難と親会社近鉄グループの再編などにより、大阪近鉄バファローズはオリックス・ブルーウェーブの運営会社である「オリックス野球クラブ」への営業譲渡が決定したことから、新生オリックス・バファローズとの来期以降の使用契約が流動的となり、収支計画策定も困難となったことで調停が長期化していた。

 今年6月には、球場施設の市への売却額の不動産鑑定結果が提示されたが、債権者である金融機関側との評価が大幅に乖離していたことから金融機関側の反発を招き7月、9月と弁済計画案の作成期限を延期。計画案の策定に努めてきたが、市の追加支援を求める債権者との調停成立が困難となった。

 負債は約588億円。