レポート株式会社ヴィッセル神戸

2003/12/15

TDB企業コード:530351351 兵庫県神戸市兵庫区 神戸市出資の第3セクター Jリーグサッカーチーム運営 民事再生法を申請 負債16億円

「兵庫」 神戸市が3.22%を出資する第3セクターで同名プロサッカーチームを運営する、(株)ヴィッセル神戸(資本金21億7500万円、神戸市兵庫区御崎町1-2-1、代表中野晴雄氏、従業員16人)は、12月13日に「民事再生法を申請しチームを譲渡」する方針を明らかにしていたが、12月15日に東京地裁へ民事再生法を申請した。

 申請代理人は野間自子弁護士(東京都千代田区内幸町2-1-4、電話03-3500-2912)ほか6名。

 当社は、1994年(平成6年)6月に神戸市からのプロサッカーチームの誕生を目的に神戸市内の有力企業の出資により設立。95年1月には正式に「ヴィッセル神戸」として始動し、95年6月に(株)神戸オレンジサッカークラブから現商号に変更、プロサッカーチームの「ヴィッセル神戸」の運営や競技開催ほかの事業を展開して、96年11月には同チームがJリーグ(現J1)への昇格を果たし、ピークとなった98年2月期の年収入高は約14億7700万円を計上していた。

 しかし、95年1月の阪神・淡路大震災によって最大出資企業だった(株)ダイエーが撤退するなどによって財務内容は苦しく、設立当初から2003年2月期まで連続して赤字決算を強いられていた。このため、98年には大幅なリストラを条件に神戸市が無担保融資を実施するなどして経営の立て直しを図り、2000年同期の年収入高は約9億2700万円までダウンしていたものの、2002年のFIFAワールドカップ開催や新ホームスタジアム「神戸ウィングスタジアム」の完成などによって、2003年同期の年収入高は約13億4200万円にまで回復していた。

 選手年俸などの経費吸収には程遠く、同チームのJ1リーグでの年間総合成績は、2002年が14位、2003年が13位と低迷し2年連続でJ1残留争いを行なうなど成績不振だったうえ、神戸市からの借入金約11億円を含め負債が膨らみ約20億5900万円の債務超過に陥っていた。

 このため、今後の戦力強化などには十分な投資ができないと判断し、同市からの貸付金も約15億2000万円まで膨れ上がっていたことから、本拠地やチーム名の現状維持などを条件にチームの譲渡先を選ぶ事などを目的に、12月15日10時から開催された臨時取締役会で民事再生法の申請を決め、今回の措置となった。

 負債は約16億円の見込み。