レポート

アエル株式会社(旧商号:日立信販)ほか1社

2003/10/01

TDB企業コード:250130519 東京都港区 中堅消費者金融業 会社更生法を申請 負債1210億円

「東京」 アエル(株)(資本金61億7553万6000円、港区赤坂1-1-1、登記面=茨城県土浦市大和町2-23、代表二重作弘正<ふたえさく・ひろまさ>氏)は、9月30日に東京地裁へ会社更生法を申請した。

 申請代理人は清水直弁護士(中央区八重洲2-2-12、電話03-5202-0585)、保全管理人には大橋正春弁護士(千代田区神田小川町1-7、電話03-5282-8615)が選任されている。

 アエル(株)は、1969年(昭和44年)6月に設立された消費者金融業者で、かつては不動産担保金融も行っていたが、89年からは不動産担保の新規貸出を休止して消費者金融専業となっていた。90年代後半に業容を急拡大し、95年からは無人店舗「ひタッチくん」を積極的に展開し、近年はインターネットを利用した融資申込みシステムを開始し、「テレフォンローン」、「レディースローン」など、24時間フリーダイヤルでの受付を可能にするなどし、またテレビタレントを起用したCMを通じ知名度アップに注力していた。一方、98年には店頭(現・ジャスダック)上場のサリ(株)(酒類小売、東京)を事実上傘下に収めるなど、事業の多角化にも乗り出し、98年3月期には営業収益約611億1700万円を計上、消費者金融業界では第10位内外の地位を確立していた(2003年3月末時点の店舗数は無人店91店を含め216店)。

 しかし、99年以降は資金調達先だった東邦生命、東京相和銀行、なみはや銀行などの金融機関の経営破綻によるアクシデントに見舞われ、当社の保有していた東邦生命の社債、東京相和銀行の株式などが不良債権化していた。また、2000年6月の出資法改正(上限金利の29.2%への引き下げ)の影響や、個人破産の急増に代表される貸し倒れの増大、グループ会社の業績不振など、ここ数年の業況は伸び悩みを余儀なくされていた。

 こうした中、2001年7月には日立信販(株)から現商号のアエル(株)へ変更してイメージを一新して再スタートするほか、関係会社を通じ韓国での金融業を展開するなど立て直しを図り、資金調達面では、従来の外銀協調融資に代わり、ABS(資産担保証券)の発行を主体とするようになっていた。しかし、2003年3月期は、営業貸付金残高約1064億円(前期比 4.0%減)、営業収益は約 281億8600万円(同 4.8%減)にとどまり、損益面もABSの早期償還やデリバティブ取引の評価損などで、111億円以上の特別損失を計上したことで、赤字転落を余儀なくされていた。こうしたこともあって、消費者金融貸付債権をはじめとする営業権を他社へ譲渡し、金融機関の資金提供により債権者へ借入金を返済するスキームが立案され、協議が進められてきたが、交渉が難航していたことで動向が注目されていた。

 負債は約940億円(保証債務約120億円を含む)。

 また、同社グループの(株)ナイス(資本金10億円、荒川区西日暮里2-26-10、代表大澤和夫氏)も、9月30日に東京地裁へ会社更生法を申請した。
 保全管理人にはアエルと同じく大橋正春弁護士が選任されている。

 (株)ナイスは、1976年(昭和51年)11月に設立された。当初は、旅行業を目的としていたが、その後事業内容および商号変更を経て、95年4月に現商号となった。アエル(株)から支援を得る形で消費者金融業の全国展開を図り、99年3月期には営業収益約178億3900万円を計上していたが、その後業容縮小を余儀なくされ、2003年同期の営業収益は約85億9200万円にまで落ち込んでいた。(株)ナイスについてもアエル(株)と同様に事業譲渡の協議が進められ、動向が注目されていた。

 負債は2003年3月期末時点で約270億円。