レポート多聞酒造株式会社

2002/12/25

TDB企業コード:580119539 兵庫県西宮市 銘酒「多聞」で知られる老舗清酒メーカー 民事再生手続き開始を申請 負債96億円

「兵庫」 多聞酒造(株)(資本金2億円、西宮市東町1-13-11、代表八馬啓輔<はちうま・けいすけ>氏、従業員75人)は、12月25日に神戸地裁へ民事再生手続き開始を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は土井憲三弁護士(神戸市中央区京町83、電話078-331-2423)。

 当社は、1920年(大正9年)3月に設立された清酒メーカーで、24年に酒類製造免許を受け、銘酒「多聞」を中心とした清酒の製造販売を手がけていた。近年の販売比率は清酒(自社製造販売)が90%、奈良漬(多聞漬)が5%、清酒仕入販売が5%となっていた。日本有数の酒どころ灘で「灘五郷」と呼ばれる酒蔵の1つである「西宮郷」に属し、早くから札幌、東京、福岡などに支店・営業所を開設、全国的に販売網を確立してきた。89年には最新技術を用いた10階建ての完全四季醸造蔵「多聞蔵」(兼本社ビル)を完成、品質向上とともに多様化する酒質ニーズへの対応を図り、92年3月期には年売上高約83億1600万円をあげていた。

 しかし、若年層を中心とした日本酒離れの傾向などから徐々に売り上げは低迷、同業他社との競合も激化したことから2002年同期の年売上高は約40億円にまで落ち込み、バブル期に関連会社を通じて行った不動産投資による金融債務が収益を圧迫、好転の見通しが立たなくなった。

 負債は約96億円。