レポート前田屋外美術株式会社

2002/10/21

TDB企業コード:985763284 東京都渋谷区 公園施設・モニュメント製造 民事再生法を申請 負債56億円

「東京」 前田屋外美術(株)(資本金6400万円、渋谷区大山町45‐18、代表前田八重美氏、従業員68人)は、10月21日に東京地裁へ民事再生手続き開始を申請した。

 申請代理人は財津守正弁護士(新宿区四谷2-4-18、電話03-3357-6275)。なお、監督委員は青木莊太郎弁護士(千代田区神田司町2‐8、電話03‐5207‐7300)が選任されている。

 当社は、1963年(昭和38年)6月設立。官公庁向けのモニュメント(記念建造物)・橋上修景(親柱、高欄、照明灯等)・公園施設・遊園施設・モール(歩行者専用遊歩道)・水辺コンクリートブロックなどのデザイン・設計・製作・施工および販売を手がけ、97年3月期には年売上高約85億6800万円を計上していた。

 近時はアートデザイン事業(病院、マンション等での癒しの空間づくり、緑化事業)や水辺環境(空間整備・浮島)事業、環境デザイン(高速道路のサービスエリアのデザイン・設計、ビル・マンションの外構等)、高速道路の防護柵・防雪壁のデザイン・設計も手がけていた。

 その後は公共工事の削減の影響から業績はジリ貧傾向をたどり、2002年同期の年売上高は約52億5300万円にとどまり、利幅も確保されていなかった。この間、利益率の高いデザイン関連の受注に注力し、加えて人員削減による固定費削減、不動産売却や固定預金との相殺による借入金の圧縮を図っていたものの借入金は依然として高水準にあり、余裕のない運営を余儀なくされていた。

 こうしたなか、10月7日にUFJ(新宿新都心)で1回目不渡りが発生。その後も、遊休資産(鎌倉、箱根、栃木の土地、建物)や美術品の売却、自治体とのタイアップで進めていた美術館創設のための個人資産で資金手当を進めていたものの、取引金融機関から債権譲渡登記を設定されるなど対外信用は失墜していた。

 負債は債権者約500名に対し約56億円。