2010年6月16日
特別企画 : 零細企業の倒産動向調査 |
全体の倒産は減少も、零細企業の倒産は高水準で推移 〜 2010年5月は構成比50.7%で過去最高、改正貸金業法の完全施行後の影響懸念 〜 |
はじめに
国内景気の回復と金融支援策の効果で、全体の倒産件数は減少基調にある一方で、零細企業の倒産は高い水準で推移している。
2009年度における負債額別の倒産件数をみると、負債5000万円以上の件数は前年度比で軒並み減少しているのに対して、5000万円未満の件数だけが増加している。大型倒産の減少により、景気は一見上向いたかのようにみえるが、未だ零細企業の経営環境には厳しいものがある。
6月18日には改正貸金業法が完全施行される。緊急時に少額の借り入れを行うことが困難となるため、代表の個人資金で資金繰りを行っている零細企業への影響が懸念される。完全施行が零細企業の倒産件数を押し上げる可能性もある。
帝国データバンクでは、2007年度から2009年度に負債5000万円未満で倒産した企業について集計し、件数と主因、業種について分析した。
調査結果
1.件数の推移―2010年5月は構成比50.7%で過去最高
件数の推移をみると、2009年度における全体の倒産件数は前年度比2.8%減の12,866件と減少しているのに対して、零細企業の倒産件数は5,739件(前年度比6.7%増、構成比44.6%)と増加している。
月別でみると、全体の倒産件数は2009年9月以降から前年同月比で毎月減少が続いているのに対して、零細倒産では高水準で推移している。2010年度においても、全体件数の減少に比べて零細倒産の減少の度合いは明らかに低くなっており、零細企業の経営環境の回復の鈍さがうかがえる。構成比では、2009年後半から45%前後で推移しており、直近の2010年5月期においては零細倒産が50.7%を占め、集計基準変更後で過去最高となっている。
2.主因別―「不況型」が約8割を占める
主因別でみると、販売不振や業界不振などを含めた「不況型」が4,538件(構成比79.1%)でトップとなり、次いで、「放漫経営」、「過小資本」、「経営者の病気、死亡」となった。近年の世界的不況にともなう受注の低迷や競合の激化によって、脆弱な経営基盤しか持たない零細企業が支え切れずに倒産へと至る、といったケースが多い。
3.業種別―不動産・建設業の零細企業は倒産増加
業種別にみると、「建設業」が1,363件(構成比23.7%)で最も多くを占めた。次いで「サービス業」が1,290件(同22.5%)、「小売業」が1,258件(同21.9%)となっている。全体の倒産件数と照らし合わせてみると、「不動産業」は全体では減少しているが、零細企業では前年度比42.5%増加となった。中でも不動産仲介業者の倒産が目立っており、不況による競争激化にともなう仲介手数料低下の影響などが件数を押し上げていると見られる。また「建設業」は、公共事業発注の前倒しなどによって全体の件数は減少したが、零細企業では前年度比で9.7%の増加となっており、業界における受注競争のしわ寄せが下請けの零細企業へ影響を与えたと考えられる。
4.まとめ
好調な外需がもたらした景気回復と中小企業金融円滑化法などの公的支援策は、大型倒産の抑制へと繋がっているが、その恩恵は零細企業にまで行き渡っていない。経営基盤が脆弱な零細企業に対する早急な支援策が求められる。今後は、6月18日の改正貸金業法の完全施行の影響により、借り入れを運転資金に充てている個人事業主などの倒産が増加する可能性が懸念される。借り手側に対する改正内容の周知が十分になされているとは言えず、完全施行後に関連の倒産が相次ぐ恐れがある。
詳細は資料(PDF 324KB)をご覧ください。
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