2008年10月1日
2007年焼酎メーカー売上高ランキング |
「黒霧島」がけん引役、合計売上高が3年ぶりに前年を上回る |
はじめに
焼酎メーカーの2007年(2007年1月期〜12月期)の上位50社売上高合計は3345億円(前年比0.6%増)で、3年ぶりに前年を上回った。前年比27.0%増収の霧島酒造(株)の主力ブランド「黒霧島」がけん引役となった形だ。売上高トップの三和酒類(株)は3年連続前年割れで、明暗を分けた。上位50社のうち九州・沖縄地区の企業は前年より3社増加し46社となった。
この調査は帝国データバンクの企業情報データベース「COSMOS2」に収録されている焼酎製造を主業とする焼酎メーカーで、売上高に占める焼酎比率が50%以上の全国の企業を対象に調べた。昨年に続いて5回目の調査となる。
調査結果
トップの三和酒類は3年連続前年割れ
売上高トップは5年連続で三和酒類(株)(大分県宇佐市)だった。主力の麦焼酎「いいちこ」は、フラスコ、ボトル、紙パック、ミニボトルなどラインナップも拡充、全国ブランドとして高い人気を誇る。首都圏、関西地区などの大都市圏に営業を展開する一方、アジア、北米など10カ国以上の在留法人向けを中心に輸出も行っている。しかし、焼酎ブームの沈静化に加え、芋焼酎の市場拡大や大手酒類メーカーの参入などの影響で、3年連続前年割れとなり前年比1.1%減となった。
2位は前年と同じく、合同酒精(株)(東京)、福徳長酒類(株)(同)、秋田県醗酵工業(株)(秋田県湯沢市)の3社を擁するオエノングループ(東京)。「鍛高譚」(たんたかたん)、「博多の華」、「グランブルー」を主力に新商品の積極的な投入で、同4.0%増加した。なお、売上高は3社の焼酎事業のみを集計した。
3位は前年4位の霧島酒造(株)(宮崎県都城市)。2006年8月の工場増設により増産体制を整えたことから、同27.0%増となった。主力の芋焼酎「黒霧島」は、現在も出荷調整を余儀なくされるほどの人気ぶり。当社は、8位(2003年)→6位(2004年)→5位(2005年)→4位(2006年)→3位(2007年)と毎年順位を上げ、今回、ベスト3に入った。
4位は薩摩酒造(株)(鹿児島県枕崎市)。全国的にも高い知名度をもつ「さつま白波」を中心に、「黒白波」、「我は海の子」、「神の河」などを展開している。関東、関西方面などへ販路を拡大しているものの、売り上げは伸び悩み、同4.0%減。前年の3位から順位を落とした。
5位は前年と同じく雲海酒造(株)(宮崎市)。主力の麦焼酎「いいとも」、そば焼酎「雲海」のほか、芋焼酎「日向木挽・黒ラベル」、「さつま木挽」などを展開しているが、同3.0%減となった。
売上高伸び率上位の9割が芋焼酎メーカー
売上高伸び率上位10社のうち芋焼酎メーカーが9社を占めた。県別では、鹿児島県が前年と同じく8社で、宮崎県、佐賀県が各1社ランクインした。
売上高伸び率がもっとも大きかったのは、若松酒造(株)(鹿児島県いちき串木野市)(前年比30.6%増)。主力の芋焼酎「薩摩一」が好調に推移した。
3位には年商100億円を超える企業の中では唯一、伸び率二ケタを確保した霧島酒造(株)(宮崎県都城市)が入り、5年連続二ケタ増収となった。
メーカー数は鹿児島県が24社でトップ
県別のメーカー数は鹿児島県がトップで、前年より4社増え24社となった。2位は宮崎県で前年より2社減少し6社。3位は沖縄県で前年と同じく5社となった。
県別の売上高は、芋焼酎を主力とする鹿児島県が3年連続トップで、同7.5%増の約1048億7500万円となった。2位は麦焼酎を主力とする大分県。ランクに入った企業が前年より1社増えたことから、同3.6%増の約826億9700万円。3位は芋・ソバ焼酎が主力の宮崎県。前年より2社減少したものの霧島酒造(株)の増収が寄与して、同3.8%増の約659億8700万円となった。
20社が増収、17社が増益
上位50社のうち増収企業は20社で前年より6社減少。そのうち、伸び率10%を超えた企業は前年より1社減少して5社にとどまった。判明しない7社を除いて黒字企業は41社(前年比1社減)で、27社が1億円以上の純利益をあげた。増益企業は前年を7社上回り17社となった。
売上規模では、年売上高500億円台および300億円台が各1社、200億円台4社、100億円台が1社で、前年とかわらず。50億円以上100億円未満の企業は6社(同1社減)だった。
上位10社のうち、鹿児島県が4社(同1社増)、宮崎県2社(同1社減)。大分県2社、東京都および熊本県が各1社で、前年と同じだった。
業歴を見ると、200年以上の企業は3社(前年比1社増)、100年以上200年未満が15社(前年同)、50年以上100年未満が18社(同1社増)、50年未満が14社(同2社減)で、業歴50年以上の2社増え老舗企業は36社となった。
ブランド力の格差拡大
2007年の上位50社の合計売上高は3345億円(前年比0.6%増)で、焼酎ブームのピークとなった2004年の3383億9100万円には及ばないものの、3年ぶりに前年を上回った。前年比27.0%増収となった霧島酒造(株)の主力ブランド「黒霧島」がけん引役となった形だ。今後さらに、ブランド力の格差が拡大する可能性が強まりそうだ。昨年、原料や石油製品の高騰で、値上げを実施した焼酎メーカーも少なくないが、大手酒類メーカーの低価格の甲乙混和焼酎などとの競合がさらに激化することも予想される。
芋焼酎の出荷量が10年ぶりに減少
今年9月、三笠フーズ(株)が汚染米を不正に販売していたことが発覚、10社を超える焼酎メーカーが汚染米と知らず使っていたことが判明した。現在、自主回収を行っているが、風評被害による焼酎のイメージダウンにつながる懸念も否定できない。
昨年、鹿児島県酒造組合は消費者の食に対する安全志向の高まりや品質へのこだわりを背景に、薩摩伝統の「黒千代香」をデザインした「薩摩焼酎認定マーク」を決めた。鹿児島の「芋と水」を使い鹿児島で製造した焼酎に表示し、薩摩焼酎の信頼性を高めるとともに、品質向上にも取り組む考えだ。同組合は8月に平成19年酒造年度(2007年7月〜2008年6月)の県内の芋焼酎出荷量が10年ぶりに前年割れとなり、前年同期比3.5%減になったと発表した。そこに汚染米の風評被害が拡大するようだと2008年は前年割れする公算が大きくなる。生活必需品を中心とした物価上昇や給与の伸び悩みで消費マインドが冷え込むなか、原点にかえって、品質や「安心・安全」にこだわる焼酎づくりが安定成長のカギになりそうだ。
詳細は本文(PDF 4.22MB)をご覧ください。
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