2009年2月4日
TDB景気動向調査(特別企画):2009年度の賃金動向に関する企業の意識調査 |
賃金改善を実施する企業は08年度比半減へ 〜 2009年度の個人消費、9割が「縮小」を懸念 〜 |
はじめに
景気が急速に悪化している状況のもとで非正社員への雇用調整が進行しているなか、個人および全体として賃金の低下が指摘され、賃金改善を求める声は多い。今後の個人消費を左右する材料として重要視されており、2009年度の正社員に対する賃金動向に注目が集まっている。
そこで帝国データバンクでは、2009年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。
調査期間は2009年1月21日〜31日。
調査対象は全国2万487社で、有効回答企業数は1万822社(回答率52.8%)。
なお、賃金に関する調査は2006年1月、2007年1月、2008年1月に続き4回目。
調査結果
2009年度の賃金改善、「ある」と見込む企業は27.9%にとどまる
2009年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は1万822社中3,018社、構成比27.9%となり、2008年度見込み(同45.0%)からは17.1ポイント下回った。一方、「ない(見込み)」と回答した企業は同42.0%(4,542社)となり、2008年度見込み(同27.8%)から14.2ポイント上回っており、2008年度まで続いていた賃金上昇圧力は急激に弱まっている。
「ある(見込み)」を地域別にみると、『九州』(同30.3%、240社)で3割を超えているものの、前回調査の2008年度見込みと比べると11.3ポイント低下している(4ページ参考表参照)。特に、『東海』(同25.2%、290社)や『北陸』(同23.1%、116社)では、2008年度見込みから、それぞれ22.0ポイント、21.9ポイントと20ポイント以上低下しており、賃金の改善見通しが大幅に悪化している。
業界別では、『小売』(同33.9%、168社)や『サービス』(同32.1%、475社)、『卸売』(同31.3%、1,082社)が3割を超えた。一方、「ない(見込み)」では、『建設』(同49.9%、739社)や『不動産』(同46.4%、122社)、『運輸・倉庫』(同45.9%、175社)、『製造』(同44.0%、1,350社)などが高い。
企業からは、「100年に1度といわれる先の見えない経済状況では、経費支出すべてに対して慎重にならざるを得ない」(計量測定器等製造、大阪府)や「デフレ傾向で出荷単価が下がるなか賃金改善はできない」(電子部品製造、兵庫県)といった声のほか、「2009年度は正社員の賃金カットが多くの企業で実施されるとみられる」(産業用電気機器卸売、東京都)と今後の賃金動向を見込んでいる企業は多い。
2008年度実績では、賃金改善が「あった」企業は同55.1%(5,958社)と2007年度実績(同59.5%)からは若干の低下にとどまった。しかし、2009年度に賃金改善の実施を見込む企業(同27.9%)は2008年度実績からほぼ半減していることから、2009年度は景気後退が賃金に本格的な悪影響を及ぼすことを示している。
改善の具体的内容、ベースアップ25.2%、賞与(一時金)12.6%
2009年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が1万822社中2,725社、構成比25.2%となり、「賞与(一時金)」は同12.6%(1,364社)となった。また、前回調査(2008年度)と比べると、それぞれ、14.8ポイント、9.5ポイント低下した。
2008年度の賃金は、年度初めに決められている企業も多く、賃金改善の反映は概ね4月から本格化するとみられる。2009年度はすでに13.4%の企業で賃金の引き下げを予定しており(4ページ参考表参照)、ベースアップの凍結や賞与(一時金)カットなどもやむを得ない状況に直面している。非正社員の雇用調整が進行するなかで、正社員の賃金・雇用動向も深刻度を増していくと見込まれる。
賃金改善をする理由、「労働力の定着・確保」が約6割で最多 改善しない理由では、「自社の業績低迷」が8割弱
賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「労働力の定着・確保」が3,018社中1,766社、構成比58.5%(複数回答、以下同)で、前回調査(同69.0%)より10.5ポイント低下した。労働市場の需給が逼迫していた1年前と比較すると、需給が大幅に緩和している流れが反映される結果となった。次いで多かったのは、「自社の業績拡大」が同34.5%(1,042社)となったものの、前回調査(同42.9%)からは8.4ポイント低下している。また、「同業他社の賃金動向」(同12.8%、386社)、「物価動向」(同11.4%、345社)が続いているが、いずれも前回調査を下回る水準となった。
一方、賃金改善が「ない」理由は「自社の業績低迷」で4,542社中3,486社、構成比76.8%(複数回答、以下同)と8割近くに達し、前回調査(同68.3%)から8.5ポイント増加した。次いで、「同業他社の賃金動向」が同18.3%(833社)となり、2割の企業が様子見の状況にある。さらに、「物価動向」(同10.7%、488社)と「内部留保の増強」(同10.7%、485社)がほぼ同率となったほか、「人的投資の増強」(同7.4%、334社)など賃金水準を抑制して他の目的に振り分ける姿勢がみられた。
り、2割の企業が様子見の状況にある。さらに、「物価動向」(同10.7%、488社)と「内部留保の増強」(同10.7%、485社)がほぼ同率となったほか、「人的投資の増強」(同7.4%、334社)など賃金水準を抑制して他の目的に振り分ける姿勢がみられた。
非正社員、52.3%が「賃金改善の見込みなし」と回答 「ある見込み」は11.8%にとどまり、一段と厳しい賃金状況が続く
非正社員の2009年度の賃金動向については、賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業は非正社員を雇用している企業8,363社中990社、構成比11.8%となった。2008年度(同21.7%)と比べると9.9ポイント減少している。一方、「ない(見込み)」と回答した企業は同52.5%(4,393社)と5割超を占めた。今回の景気後退による非正社員の雇用調整が進むなかで、賃金も厳しさが一段と増している様子が浮き彫りとなった。
企業からは、正社員と非正社員との賃金格差について、「現状の雇用関係法では正社員による雇用調整が非常に困難になっていることから、企業は調整弁として非正社員に頼りがちになる」(包装用品卸売、大阪府)といった声のほか、「雇用にある程度の柔軟性がなければ、企業として攻めの経営ができなくなってしまう」(楽器・同部品製造、埼玉県)など企業経営を行う上ではやむを得ないと指摘する声も多い。
総じて賃金の先行きが萎縮するなかでは、正社員と非正社員で一段の格差拡大が懸念される。
2009年度の個人消費、9割が「縮小」を懸念
賃金動向によっても左右される個人消費について尋ねた。その結果、2009年度は「拡大が期待される」と回答した企業は1万822社中35社、構成比0.3%であったのに対して、「縮小が懸念される」は同88.5%(9,580社)と9割近くを占め、前回調査(同72.0%)から16.5ポイント増加した。また、「横ばい」との回答は前回調査(同21.2%)から14.7ポイント減の同6.5%(701社)となっており、2009年度の個人消費に下振れ懸念を持つ企業が拡大している様子がうかがえる。
具体的には、「2009年度の賃金は前年以下の水準で推移し、個人消費は減退して景気への影響が深刻になる」(産業用電気機器卸売、神奈川県)との声が多数聞かれた。また、「デフレスパイラルが現実的になる」(木製家具製造、北海道)など、賃金下落を通じたデフレの進行が景気の悪化をさらに拡大させることを懸念する意見は多い。
2008年度第2次補正予算が成立したことにより、家計に総額2兆円規模の定額給付金が支給されるものの、消費に直接影響する家計可処分所得の元手となる賃金に対する改善見込みは3割弱にとどまるなど、今後の消費活性化に向けたさらなる施策の実施が欠かせない。
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上記の調査レポートはTDBのインターネット調査によるものです
新しい施策やサービス(商品)に対する企業・消費者の見解や影響調査など、低コスト・短期間でご要望におこたえします。
お問い合わせ先
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
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景気動向調査:http://www.tdb-di.com/![]()

