TDB Watching

2006年10月26日

地域ブランド振興に関する動向アンケート調査

自治体、商工会・商工会議所ともに問題点は「販路・物流ルート開拓」、「予算」と認識

〜自治体の約6割が「積極的に取り組んでいる」と回答、しかし現状はいまだ試行錯誤〜

はじめに

現在、地域活性化策のひとつとして、「地域ブランド振興」が注目されている。

2006年4月に商標法の一部が改正され、特許庁において地域団体商標登録の申請の受付が始まったことにより、メディアでも「地域ブランド振興」が報じられる機会が増えた。しかし、いまだ「地域ブランド」という言葉・概念は抽象的にとらえられているケースが多く、地域によって取り組み内容はさまざまである。

そこで帝国データバンク(TDB)は2006年8月、地域ブランド振興の状況や取り組みの内容について調査を実施した。調査対象は、62自治体(47都道府県と15政令指定都市)、また中小企業庁が主催するJAPANブランド育成支援事業に採択実績をもつ90商工会・商工会議所であり、61自治体(47都道府県と14政令指定都市)、41商工会・商工会議所から回答を得た(調査概要については下欄参照)。

調査結果

1. 地域ブランド育成・振興についての取り組み姿勢

〜 約6割の自治体が「積極的に取り組んでいる」

商工会・商工会議所はすでに取り組み実績が判明しているため、自治体のみに現在の地域ブランド育成・振興の取り組み姿勢を尋ねたところ、「積極的に取り組んでいる」が38自治体(構成比62.3%)で最も多かった。

2. 現在の地域ブランド育成・振興の取り組み内容

〜 自治体は「地場農作物のPR」、商工会・商工会議所は「新たな地域ブランドの計画・育成」

地域ブランドに関する現在の取り組み内容は、複数回答の結果、自治体では「地場農作物のPR」が56自治体(選択率91.8%)で最も多かった。商工会・商工会議所の最も多かった回答は「新たな地域ブランドの計画・育成」で、25商工会・商工会議所(同61.0%)が回答した。

3. 地域ブランド育成・振興に欠かせないもの

〜 自治体・商工会・商工会議所ともに「地場企業それぞれの自助努力」

地域ブランド育成・振興に欠かせないと考えるものを最大3項目まで尋ねたところ、ともに「地場企業それぞれの自助努力」が最も多く、選択数はそれぞれ、46自治体(選択率75.4%)、27商工会・商工会議所(同65.9%)であった。

「助成制度」をあげた企業は、1割弱にとどまる122社(同9.5%)だった。

4. 地域ブランド育成・振興の問題点

〜 自治体、商工会・商工会議所の共通の問題点は「販路・物流ルート開拓が行われていない」「予算が少ない」

地域ブランド育成・振興の問題点は、複数回答の結果、自治体と商工会・商工会議所の回答に共通する点がみられた。自治体の回答で最多(43自治体・選択率70.5%)の「販路・物流ルート開拓が行われていない」は、商工会・商工会議所でも2番目(27商工会・商工会議所・同65.9%)に多く選択された。

商工会・商工会議所の回答で最多(29商工会・商工会議所・同70.7%)の「予算が少ない」は、自治体では3番目(36自治体・同59.0%)であった。

結果考察

地域ブランド形成のプレーヤーは地場企業、自治体には地場企業のサポートが望まれる

2割前後の自治体が「グランドデザインが定まらない」「どの産品に競争力があるか分からない」を選択しており、取り組みを始めたもののいまだ試行錯誤の自治体が多いという現状が浮き彫りとなった。

また、地域ブランド育成・振興に欠かせないものとしては、自治体・商工会・商工会議所ともに「地場企業それぞれの自助努力」を挙げている。

栃木県宇都宮市の地域ブランドといえる「宇都宮餃子」は、地元の老舗店である「みんみん」が中心となって餃子店を集積したことが差別化につながり、観光客を呼び込むことに成功した。「みんみん」が1人勝ちでなく、地域に集積を図ったことが成功のポイントである。

また、北海道では、「マルセイバターサンド」の六花亭製菓や「ROYCE’」のロイズコンフェクトHD、「白い恋人」の石屋製菓などの有力企業が、拮抗(きっこう)する市場原理のなかで自然発生的に「北海道スイーツ」という地場産業を新たに形成し、売り上げを伸ばしている。この後を追うような形で、札幌商工会議所の「スイーツの街・札幌ブランド発信事業」は、中小企業庁のJAPANブランド育成支援事業に採択された。


このように、「地場企業それぞれの自助努力」は地域ブランドに欠かせないものであることは間違いないが、地場企業1社で実現できることは限られている。このため、自治体は地場企業が地域ブランドに取り組もうとした場合に地場企業間の連携をサポートする、または、地域一丸となった取り組み実現のため地域住民を巻き込むような意見交換の場を設ける、などの役割を積極的に果たしていくことが望まれる。

アンケート結果の詳細はこちらの資料(PDF 1.03MB)をご覧ください。

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お問い合わせ先

株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課

TEL:03-5775-3163


調査概要

【調査対象】

62自治体(47都道府県と15政令指定都市)

JAPANブランド育成支援事業に採択実績のある90商工会・商工会議所


【調査期間】

2006年8月1日〜11日


【調査方式】

郵送、項目選択式


【調査票回収数】

61自治体(47都道府県と14政令指定都市 ※)

41商工会・商工会議所


【分析対象自治体・商工会・商工会議所の地域別内訳】

地域

自治体

商工会・商工会議所

北海道・東北(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)

9

6

関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県)

13
5

北陸(新潟県、富山県、石川県、福井県)

4
10

東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)

6

6

近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)

9
5

中国・四国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県)

10

5

九州・沖縄(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)

10
4
合 計

61

41

※地域ブランドに関連する部署が複数存在するとの理由により、部署ごとに回答が寄せられた自治体については、自治体単位で再集計したうえで分析した


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