ビジネス講座

与信管理運用の基礎第8回:新規取引先判断(1)

新規取引先が見つかったら

今までに取引がない、新規のお客さまが見つかったら、あなたならどう思うでしょう?

「やったー!」

多くの方は、そう思うだけかも知れません。

しかし、待ってください。初めて取引をするのですから、お客さまの情報はありません。そのお客さまの言葉だけでは真実を探ることはできません。どのような会社であっても、倒産するというリスクと、取引が円滑に進むとは限らないというリスクがあります。
既に長年の付き合いがある取引先であれば、倒産するリスクをウォッチしていれば良いのですが、新規取引先の場合にはさまざまなリスクがあります。したがって、さまざまな情報を集めて問題がないことを確認してから、取引を開始しなければいけません。

取り込み詐欺のリスク

まず、信用できる会社がどうか判断するためには、必ず「商業登記」を調べるべきです。代表者・住所・会社の目的がコロコロ変わっている場合などには、疑ってかかる必要があります。
取り込み詐欺は、小さい金額の現金取引から始めて、順調に頻繁な取引をしばらく続けて、大きな金額で長期の売掛金や受取手形を利用する関係にまで発展させます。その後、未払いの大量の商品を抱えたまま消えてしまうという手口を取るのが一般的です。大昔から変わらない手口ですが、今も同様にこうした被害は後を絶ちません。
このような取り込み詐欺の被害に遭わないためには、最低でも「商業登記」を閲覧し、疑いがある場合は、調査会社の「調査報告書」などで今までの事業展開に怪しい点がないかを見分ける必要があります。
特に、商号・住所・代表者・事業内容などの基本的な項目の変更に関しては注意が必要です。例えば、他の都道府県への移転では理由が明確になっているか否かなど、確認してください。
1回取引を開始してしまうと、次々と購入してもらえるので、警戒心が薄れ、営業担当者の立場としてはもう止めることはできなくなってしまいます。必ず、取引を開始する前に調べることが重要です。

※帝国データバンクでは、「調査報告書」を作成する過程で「商業登記」を必ず確認していますので、「調査報告書」をお求めの場合には「商業登記」を別途購入する必要はありません。

会社としての信用

新規取引の対象となる企業の、社会的な信用も見ておく必要があります。もちろん、今まで取引がないので自社で調べることは困難です。外部情報として、調査会社の調査報告書を見るか、もしくは調査して評価した点数を見ることになります。
評価点数は、さまざまな項目を評価した合計として表現されますので、会社の総合的な評価となります。したがって、倒産のリスクを表わす一方、成長性や社会的な信用等も表わす形になります。これから取引を行う場合には、取引をするのにふさわしい相手かを判断する1つの指標となります。

(例)帝国データバンクの評点内訳

項 目 名 評  点
業  歴 1 〜 5
資 本 構 成 0 〜 12
規  模 2 〜 19
損 益 状 況 0 〜 10
資 金 現 況 0 〜 20
経 営 者 1 〜 15
企 業 活 力 4 〜 19
加  点 +1 〜 +5
減  点 −1 〜 −10
合  計 100点満点

倒産のリスク

また、新規取引を行う相手企業が真面目で社会的な信用がある会社でも、倒産するリスク(信用リスク)は必ずありますので、新規取引を行う前にそのリスクを見極めておくことも重要です。この信用リスクを見極めるためには色々な方法がありますが、より精緻に行うのであれば、数十万社もの膨大な企業情報を元に統計的な処理を行い、倒産する確率を計算するということが一般的です。
一般事業会社では、情報が足りないために通常自社では計算できません。そのため、帝国データバンクなどの統計モデル(倒産確率を計算する数式)を持っている会社に、信用リスクを表わす「リスク指標」を依頼することになります。
1社毎に今後1年以内に倒産する確率を予測した「リスク指標」により、厳密に信用リスクを測ることができるので、新規取引先と取引して良いかどうか、取引条件はどのようにすれば良いか、などの判断をより正確にできるようになります。

※帝国データバンクでは、「倒産予測値」としてこのリスク指標を商品化しています。1社からでもご利用できますので、詳細はこちらをご覧ください。

大口取引の場合は・・・

業種・業界によっては取引自体の金額が全て大きい場合、他社から仕入先を変更してもらえて金額が大きくなる場合などがあります。そのような場合には、以上で挙げた「調査報告書」「評価点数」「リスク指標」の全ての情報を取得し、多面的な判断を行った方が安全です。
特に、他社からの仕入先変更では、現在の仕入先から取引を断られたり、リスクを考慮して取引条件が厳しくなったりするケースも考えられます。くれぐれも、どのような形で新規なのに大口取引ができるようになったのか、背景も含めて確認する必要があります。

新規取引先判断のまとめ

新規取引先に関しては、外部情報を活用して客観的に判断した方が良いでしょう。その時には、長期で取引することを考えて、倒産するリスク以外のリスクや金額の多寡も考慮し、さまざまな情報から判断するようにしましょう。

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