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これから始める与信管理第3回:会社の規模、取引規模に応じた「与信管理」の考え方、「与信管理」における3つの視点

会社の規模、取引規模に応じた「与信管理」とは?

「与信管理」には、これが最も良い方法というものがあるわけではありません。「与信管理」とは、それぞれの企業の状況によって違います。その典型的な状況の違いが、会社の規模や取引規模などです。
自分の会社の規模が違うことによって、取引先数が変わります。例えば、取引先が10社しかない場合には、その10社のことを詳しく知ることが大切になります。取引先が1,000社を超えるようであれば、全てを詳しく調べることは非効率なので、金額が小さい小口取引先については共通した評価指標を定めて判断することになります。

また、取引規模の違いにも影響されます。取引規模が大きい場合には、それなりの人件費や調査費をかけて詳しく調べることも可能ですが、取引規模が小口であれば、同じように費用をかけてしまうと利益が出ないこともあり得ます。
さらに、業界特性によっても変わります。手形等の利用が多く回収サイト(売り上げた時から現金が手に入るまでの期間)が長い業界であれば、取引先が倒産した場合の損失が、売り上げに対して大きいわけですから、多少費用をかけても詳しく調べておく必要があります。
他に、継続的な取引が多い場合には、継続的なチェックを行って変化に対応することも必要となります。
このように、自社の規模・取引規模等の状況により、「与信管理」は変わってくるのです。全ての取引先を均一に調査・評価・管理するのか、それとも取引先毎に管理レベルなどに違いを付けるのか、その内容はどのようにするのか、さまざまな選択肢があります。

「与信管理」の前提

自社の「与信管理」がどのくらいのレベルにあるか、ご存知でしょうか?「与信管理」という業務のスタートラインに立っているかどうかを確認する、自社で分かる2つの質問があります。

  1. (1)取引先は何社ありますか?
  2. (2)自社の売上債権の残高は、前月末時点でいくらありますか?

会社によっては、取引先の複数の部署や各事業所と取引をしていて、取引している相手先の数は分かっても、企業数は分からないかも知れません。スポット取引が多いと、管理すべき継続的な取引先が分からないかも知れません。「与信管理」を始めるなら、管理すべき取引先を企業単位で把握する必要があります。
また、売上債権を月末時点でいくらあるか把握できないと、仮に与信限度額を設定しても、売上債権が超過しているかどうか比較できなくなってしまいます。場合によっては、業務フローやシステム等の問題により、与信管理担当者へ情報が来ないのかも知れません。売上債権残高は「与信管理」のためには必要な情報ですので、月次で把握できるようにする必要があります。与信管理担当者は、合計額ぐらい分かっているはずです。
この2つの質問の答えを与信管理担当者が分かっていたら、「与信管理」の前提がしっかりしていると思われます。ぜひ、ご確認されることをお勧めいたします。

「与信管理」における3つの視点

「与信管理」は3つの視点から見ることができます。それは、以下のものです。

(1)重点管理

これは、大口取引先などを重点的に管理することを指します。具体的には、大口取引先・要注意取引先・評価指標が悪い取引先等に関して、営業担当者による調査や外部機関による調査により詳しい企業情報を集め、精査して評価した上で、取引可否判断・与信限度額設定などを行うことです。

(2)全体管理

これは、取引先全てを効率的に管理することです。具体的には、取引先全てに共通の評価指標を設定して、小口取引先であっても簡単に、取引可否判断・与信限度額(売上債権残高を許容する信用枠)設定等を行うことです。この評価指標を、社内共通指標として活用することができます。

(3)継続管理

これは、「全体管理」・「重点管理」ともに継続的に行うことにより、常に取引先の信用リスク変化をウォッチすることになります。何かリスクが増大するような変化があれば、緊急対応等を行うことができるようになります。実際の貸し倒れから逃れるためには重要な行動となります。

このように、与信管理には3つの視点がありますが、どのように組み合わせて使うかは、会社の規模、取引の規模、業種・業界、自社の与信管理方針などによって違ってきます。
ただし、どの場合でも3つの視点を意識した与信管理体制を作る必要があり、与信管理の実務としても3つの視点を常に意識していくことが大切です。

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