【目次】
■業界の概要
■市場の動向と展望
■中食・デリバリー業、事業給食業の業績動向
■統計データ、関連法規・団体
■業界天気図
■業界の概要
中食市場は食の簡便化ニーズにより拡大
中食とは、調理済みの料理・食品を購入して自宅などで食べる食事形態、およびその料理・食品そのものを指す。自宅で調理して食事をする「内食」と、飲食店などで食事をする「外食」との中間に当たるため、このように呼ばれる。
持ち帰り弁当・総菜や宅配ピザのほか、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパートで販売される弁当・総菜、飲食店によるデリバリー・テイクアウトも含まれる。
店内調理を行う業態と、店外調理を行う業態がある。前者は出来立てのもの提供するため、鮮度や温度が重視される商品に適するが、施設設備や衛生管理面で飲食店と同等の要件を満たす必要がある。後者は工場やセントラルキッチンで大量生産するため効率性が高いが、それを速やかに店舗に届けて販売するために、効率的な物流システムが求められる。
市場は、単身・共働き世帯の増加にともなう調理簡便化ニーズの高まりに比例して成長してきた。また、コロナ禍による生活様式の変化も中食需要の追い風となった。近年ではオンライン注文やデリバリーサービスの拡充により、新しい顧客層を取り込んでいる。
給食業は健康志向への対応で付加価値向上
給食業は、企業や工場、学校、病院などの施設において、従業員や学生、患者に対して食事を提供する。社員食堂、学生食堂、病院食などの運営管理や、給食サービスを提供する外部委託業者も含まれる。
収益は、契約の規模や内容、食材の仕入れコスト、運営コストなどによって左右される。近年は健康志向の高まりに応じて、栄養バランスの良いメニューや特定の病気に対応したメニューを提供することで、付加価値を高めている。
コストアップや食品ロスへの対応が課題
業界の課題としては、気候変動や国際紛争による食材・エネルギー価格の高騰や、人手不足による人件費の上昇によるコストアップが挙げられる。
また、持続可能性な社会づくりや食材価格高騰への対策として、食品ロスへの対応も重要な経営課題となっている。工場やセントラルキッチンで大量生産された食品は、鮮度や安全を保つために販売期限が設定されており、売れ残った多くの食品が廃棄されている。給食サービスも、一定の数量の食事を提供する必要があることから余剰分が発生しやすい。そのため中食業界では、ITの活用による需要予測の精度向上や効率的な在庫管理、調理工程の改善などに取り組んでいる。
■業界天気図
業界の情勢を、「快晴/晴れ/薄日/曇り/小雨/雨/雷雨」の7段階で表しています。
中食・デリバリー
事業給食