燃料や原材料などの仕入価格上昇により収益が維持できず倒産した「物価高倒産」は、東海4県では2024年1月から8月までに71件発生。過去最多のペースで増加しており、企業収益の改善には価格転嫁をいかにスムーズに進められるかが喫緊の課題となっている。また、2024年8月2日には、中小企業庁は、受注側の中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状についての評価を発注側企業ごとに公開した[1]。評価の低い企業に対して大臣名で指導や助言を実施していくなど、政府全体で価格転嫁の促進を後押ししている。
一方で企業にとっては、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、最低賃金の引き上げも控える人件費の負担増など、取り巻く環境は厳しい状況が続いている。コスト上昇分すべてを商品・サービスへ転嫁することが望ましいと分かっていても、国内消費の動向などを鑑みると慎重な姿勢を取らざるを得ない声も多い。
そこで、帝国データバンク名古屋支店は、現在の価格転嫁に関する東海4県企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに行った。
- 調査期間は2024年7月18日~31日、調査対象は東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)の3020社で、有効回答企業数は1211社(回答率40.1%)。なお全国は2万7191社で、有効回答企業数は1万1282社(回答率41.5%)。
[1] 中小企業庁「価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果について(2)」(2024年8月2日発表)
調査結果(要旨)
- 自社の商品・サービスに対しコストの上昇分を『多少なりとも価格転嫁できている』東海4県企業の割合は80.5%、「全く価格転嫁できない」は10.5%だった
- 価格転嫁率は45.5%と前回調査(2024年2月)から3.3ポイント上昇しつつも、依然として5割以上を企業が負担
- 業種別で価格転嫁率が最も高かったのは「卸売」(53.3%)。次いで「製造」が49.9%となったが、全体を上回ったのはこの2業種のみ
詳細は以下のPDFをご覧ください
20240919_価格転嫁に関する東海4県企業の実態調査(2024年7月).pdf

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