脱・属国
公共投資の削減や民需の低迷で、設備投資が本格回復に至らないなか、太陽光発電の関連需要に期待が集まっている。
自ら居住する住宅に太陽光発電システムを新規に設置した場合の補助金付与が2009年1月に開始された。申請受理件数は、2009年1~3月に2万2,501件、4月から7月までで毎月増加し累計で2万8,442件となった。
しかし、2010年1月29日までの期間限定であり、補助金交付予定額である200億5,000万円に達した時点で受付終了となる。少子高齢社会にあり、新規住宅着工が低迷する状況からも、住宅用に過度な期待はできそうにない。
また、全国の公立小中学校3万3,000校のうち耐用年数などで絞り込んだ1万2,000校に太陽光発電システムを3年以内に導入するスクール・ニューディール構想もある。文部科学省のパンフレットによると、1校あたりの平均設置量は20KW、全体では240MWとなり2008年度の国内出荷量とほぼ同等となる。
長期的には、2020年度までに電気事業者によるメガソーラー発電所を全国30カ所、約140万MW規模で建設する計画もあり、国内は太陽光発電の需要拡大に否が応でも期待が集まっている。
しかし、これらの太陽光発電計画は国内の太陽電池市場全体からみれば重要ではあるが、数値面からみると、さほど大きなインパクトはない。2008年度の日本の太陽電池出荷量は1,120MW、そのうち海外出荷が約8割を占めるためだ。
国内の需要拡大は、海外メーカーとの競争力強化のための生産コストを低減する役割としては効果がある。これからは国内の需要増を足がかりに、いかに海外でのシェアを拡大していくかが重要となってくる。
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