倒産集計

2014年 6月報

倒産件数は847件、11ヵ月連続の前年同月比減少
負債総額は2116億4200万円、2ヵ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数 847件
前年同月比 ▲6.5%
前年同月 906件
前月比 +15.6%
前月 733件
負債総額 2116億4200万円
前年同月比 ▲45.8%
前年同月 3903億6500万円
前月比 +18.2%
前月 1790億8300万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント件数は11ヵ月連続の前年同月比減少、負債総額は2ヵ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数は847件で、前年同月に比べ6.5%の減少。11ヵ月連続で前年同月を下回り、6月としては2006年(744件)に次ぐ低水準となった。負債総額は2116億4200万円で、前年同月比45.8%の減少となり、2ヵ月ぶりに前年同月を下回った。

要因・背景

1.件数…前年同月からの減少数59件のうち、製造業が42件(寄与率71.2%)を占める

2.負債総額…5ヵ月ぶりに2000億円を上回ったものの、前年同月に負債1000億円超の倒産(アイティーエム証券(株))があったため、前年同月を大きく下回った

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を下回った。なかでも、製造業(104件、前年同月比28.8%減)、小売業(169件、同11.1%減)の2業種は2ケタの大幅減少となったほか、建設業(181件、同1.1%減)は21ヵ月連続の前年同月比減少となった。一方、不動産業(27件、同80.0%増)、運輸・通信業(43件、同16.2%増)の2業種は前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比83.8%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は710件(前月600件、前年同月722件)となった。構成比は83.8%(前月81.9%、前年同月79.7%)で、前月を1.9ポイント、前年同月を4.1ポイントそれぞれ上回った。

要因・背景

■倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

ポイント 負債5000万円未満の構成比56.2%

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は476件で、前年同月を6.8%下回ったものの、構成比は56.2%と、20ヵ月連続で過半数を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産が5ヵ月ぶりに複数件発生した。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計が493件、構成比は58.2%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中5地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回った。5地域ともに前年同月比2ケタの大幅減少で、なかでも北海道(21件、前年同月比27.6%減)、北陸(24件、同22.6%減)など4地域は前年同月比20%以上の減少となった。一方、四国(21件、同50.0%増)、東北(36件、同16.1%増)など4地域は前年同月を上回った。

要因・背景

■主な倒産企業

負債トップは、一般社団法人京都府森と緑の公社(京都府、民事再生法)の228億円。ソフトウエア興業(株)(東京都、破産)の191億2400万円、(株)リンク・イノベーション(東京都、特別清算)の98億1600万円が続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは46.5、回復はまだら模様の状態

2014年6月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.3ポイント増の46.5となり3ヵ月ぶりに改善した。

しかし、業界間や業種、地域によっては消費税ショックの影響が長引いており、全体として回復はまだら模様の状態となった。『小売』は、百貨店やスーパーを中心に2ヵ月連続で改善したものの、品目により回復のバラツキがみられ小幅な改善にとどまった。また、『建設』は公共工事や企業の設備投資が堅調に推移したことで6ヵ月ぶりに改善した。ただ、住宅投資は依然として弱く、建材関連の製造・卸売は今なお悪化が続いている。

消費税率引き上げの影響は和らぎつつあり、国内景気は緩やかに上昇していく見通し

規模別にみると、「中小企業」は3ヵ月ぶりに改善したが、原材料や電力などコスト上昇分の販売価格への転嫁が進まずわずかな回復にとどまった。地域別では、10地域中6地域が改善した。円安による影響を受ける輸出関連が基幹産業となっている地域や、公共工事の発注が堅調な地域で景況感の改善がみられた。

国内景気は、原油価格の高止まりなどのコストアップや人手不足のほか、一部業種、地域で回復の遅れがみられるものの、消費税率引き上げの影響は和らぎつつあり、今後の景気は個人消費が持ち直すのにともない緩やかに上昇していくとみられる。

今後の見通し

■“新陳代謝”の名のもとに、中小零細企業の淘汰が進む可能性が高い

安倍政権は、昨年6月に公表した日本再興戦略のなかで「開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベルの開・廃業率10%台(現状約5%)を目指す」ことをKPIとして明示した。中小企業・小規模事業者の新陳代謝を促進することにより経済活性化を狙ったものである。その成果は徐々にあらわれており、今年6月24日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014』のなかでも、日本政策金融公庫国民生活事業の平成25年度第3四半期(4月〜12月まで)の創業融資実績が7年ぶりの高水準となったと公表されるなど、起業・創業支援が進んできた。

一方の廃業率上昇は難しい。廃業を促進するとは「現在の事業の業績が悪いのであれば、資産が手元に残っているうちに廃業し、転業、再起することを促進する」ということを意味する。しかし、金融庁が中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針のなかに「債務整理等を前提とした顧客企業の再起に向けた適切な助言」や「顧客企業が自主廃業を選択する場合の取引先対応等を含めた円滑な処理等への協力」と明記し金融機関を通しての促進も行っているが、経営者側の反応は鈍い。「時を逸すれば“円満な退出”ができなくなる」(金融庁等)との指摘があっても、自ら事業を止めるという選択肢を取る経営者は増えないのが現実である。中小企業金融円滑化法の期限到来後も金融機関は借手企業に対し、柔軟な対応を取っていることも一つの要因であろう。返済条件を緩和してもらいながら、抜本的な改善をしないままに資金繰り破綻を回避している企業は多く、そういった企業の経営者は廃業を選択する必然性を感じにくいと言える。

もっとも、廃業を促進するといっても、残務整理の過程で破産等の倒産処理をせざるを得なくなるケースが珍しくないことには注意しなければならない。当初廃業を予定していたにも関わらず、最終的には破産手続き等の倒産手続きへ移行している企業は多いのである。金融機関はリスクマネーの供給に積極的に取り組むように促されているが、再建の見込みが薄い企業に融資を行うという意味ではない。つまり、赤字体質から抜け出せないような企業にとって、“廃業”という選択肢はないに等しい。今後、“新陳代謝”の名のもとに中小零細企業の淘汰が進む可能性が高いと見るべきであろう。

■倒産件数5年連続で前年同期比減少も、倒産増加懸念払拭できず

足元の企業倒産件数はというと、減少傾向を示している。2014年上半期の倒産件数は4756件となり、前期を5.3%、前年同期を10.4%ともに下回った。これにより、5年連続で前年同期比減少である。また、月ベースでみても、2014年6月の倒産件数は847件(前年同月比6.5%減)で、11ヵ月連続の前年同月比減少を記録している。これは、震災復興工事、“アベノミクス”、財政出動、予算執行前倒しなどを背景に、建設業の倒産件数が大幅に減少していることにより、全体の件数が押し下げられた結果と言える。

しかし、個別の業種を見ていけば、今後、中小零細企業の淘汰を早め、企業倒産件数を押し上げるであろう不安要素は多い。倒産件数が前期比、前年同期比ともに増加となった道路貨物運送業関連では、軽油価格が6月最終週時点で11週連続の値上げとなり、前年の同時期と比べ10%以上上昇している(資源エネルギー庁)。また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業の主要業界団体が公表している売上高集計(既存店ベース)では4月、5月と2ヵ月連続で前年同月実績を割り込んだ。「1997年の消費税率引き上げ時よりも反動減は小幅」との声も聞かれるが、今回は更なる税率引き上げの可能性が高いため、1997年との単純比較はできず不安は残る。さらに、現在好調な建設業にさえ、資材価格・労務費高騰問題の存在や、公共工事は今後の財政出動の規模次第という危うさがある。これらを加味すれば、2014年下半期も、企業倒産件数は増加懸念を払拭できないまま、一進一退の推移となるであろう。

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