倒産集計

2013年度報(2013年4月1日〜2014年3月31日)

倒産件数は1万102件、5年連続の前年度比減少
負債総額は2兆7473億9300万円、過去10年で最小

倒産件数 1万102件
前年度比 ▲5.7%
2012年度 1万710件
負債総額 2兆7473億9300万円
前年比 ▲6.2%
2012年度 2兆9291億1700万円

主要ポイント

調査結果

■件数

ポイント5年連続の前年度比減少

2013年度の倒産件数は1万102件と、2012年度の1万710件に比べ5.7%減少し、5年連続で前年度を下回った。四半期別では4期すべてで前年同期比減少、月別では8月以降8カ月連続の前年同月比減少となるなど、12カ月中9カ月で前年同月を下回った。

要因・背景
  • 1.中小企業金融円滑化法終了後も金融機関の支援が継続し、経営不振企業の倒産を抑制

  • 2.公共工事の増加や駆け込み需要により、建設業(2184件)が前年度比17.0%の大幅減少

    ■負債総額

    ポイント5年連続の前年度比減少、過去10年で最小

    2013年度の負債総額は2兆7473億9300万円と、2012年度の2兆9291億1700万円に比べ6.2%減少し、5年連続で前年度を下回り過去10年で最小となった。四半期別では第1四半期を除く3四半期が前年同期比減少、月別では合計8カ月で前年同月比減少となった。

    要因・背景
  • 1.負債トップは、カブトデコム(株)(4月、北海道)の5061億円

  • 2.負債100億円以上の大型倒産は19件(前年度26件)と、過去10年で最少

    ■業種別

    ポイント全7業種で前年度比減少

    業種別に見ると、全7業種で前年度を下回った。なかでも、建設業(前年度比17.0%減)、不動産業(同10.1%減)の2業種は前年度比2ケタの大幅減少となった。建設業は5年連続の前年度比減少を記録した。

    要因・背景
  • 1.建設業…公共工事の増加や消費税率引き上げ前の駆け込み需要などにより好況が続き、月別では2012年10月以降18カ月連続の前年同月比減少を記録

  • 2.食品関連では、原材料価格の高騰および価格競争の激化により、製造(224件、前年度比7.7%増)、卸(359件、同6.2%増)、小売(375件、同10.9%増)の各業種で増加

    ■主因別

    ポイント   「不況型倒産」の構成比は82.9%

    主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は8376件(前年度9008件)となり、5年連続で前年度を下回った。構成比は82.9%と前年度(84.1%)を1.2ポイント下回った。

    要因・背景
  • 1.「金融円滑化法利用後倒産」は562件(前年度428件)判明、前年度比31.3%の増加

  • 2.好況時に増加傾向となる「放漫経営」(154件)が6年ぶりに増加に転じる

    ■規模別

    ポイント負債5000万円未満の小規模倒産が過半数を占める

    負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は5558件と、前年度(5551件)を0.1%上回り、構成比は55.0%で全体の過半数を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産は19件(前年度26件)にとどまり、過去10年で最少となった。

    要因・背景
  • 1.倒産の小型化に拍車がかかり、負債5000万円未満の構成比55.0%は過去10年で最高

  • 2.大型倒産は金融機関による支援効果などにより抑制が続く

    ■地域別

    ポイント9地域中6地域で前年度比減少

    地域別に見ると、9地域中6地域で前年度を下回り、なかでも北海道(298件、前年度比22.2%減)、四国(164件、同18.0%減)、北陸(357件、同13.3%減)の3地域は前年度比2ケタの大幅減少となった。一方、東北(363件、同8.0%増)、中国(466件、同2.9%増)、中部(1524件、同2.7%増)の3地域は前年度を上回った。

    要因・背景
  • 1.北海道は、公共工事の増加により建設業(72件)が前年度比25.8%の大幅減少

  • 2.東北は、負債5000万円未満の小規模倒産(157件、前年度比27.6%増)を中心に増加

    ■態様別

    ポイント破産の構成比が94.1%、過去10年で最高

    態様別に見ると、破産は9508件(前年度1万63件)と前年度比5.5%の減少となったものの、構成比は94.1%を占め過去10年で最高となった。このほか、民事再生法(335件)、会社更生法(1件)も前年度を下回った一方、特別清算(258件)は前年度を上回った。 要因・背景

    要因・背景
  • 1.再建型手続きが困難な中小零細企業の構成比が高まり、破産が高水準で推移

  • 2.民事再生法による倒産件数は、2000年度の施行以来、過去最少を記録

    ■上場企業倒産

    2013年度の上場企業倒産は、ジャスダック上場の(株)インデックス(民事再生法、6月)、ワールド・ロジ(株)(破産、8月)の2件発生した。 上場企業の倒産は、2012年度(6件)に2年ぶりの前年度比増加を記録していたが、2013年度は減少に転じた。

    ■大型倒産

    2013年度の負債トップは、カブトデコム(株)(特別清算、4月)の5061億円。エヌ・エス・アール(株)(破産、1月)の1650億円、アイティーエム証券(株)(破産、6月)の1416億円がこれに続く。 負債1000億円以上の超大型倒産は上記3件にとどまるも、前年度(2件)を上回った。

    ■注目の倒産動向

    金融円滑化法利用後倒産 法施行後の累計は1290件

    2013年度の「金融円滑化法利用後倒産」は562件判明。2012年度(428件)を大幅に上回り(31.3%増)、年度として過去最多を記録。また、集計開始以降の累計件数は1290件に達した。月別の推移と見ると、2010年7月に初めて「金融円滑化法利用後倒産」が確認されて以降、件数は増加を続け、2013年7月まで連続して前年同月比増加を記録。2013年10月には月ベースで最多となる69件判明した。

    全体の企業倒産件数は一進一退を繰り返しながら減少傾向を示しているが、「金融円滑化法利用後倒産」は増加傾向を示している。これは、返済猶予を受けていても経営課題を先送りしてきた企業、もしくは経営改善計画が想定通りに進まずむしろ経営状態が悪化した企業が増加しているためと言えよう。金融庁は、金融検査マニュアル監督指針に「(中小企業金融円滑化法終了後も)貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努める」ことに加え、「借り手企業の経営改善を最大限支援するべき」と明記し、検査・監督で徹底している。無策の返済条件緩和の継続は単なる延命に過ぎない。金融機関と借り手企業が連携して個々の根本的な経営課題を解決していかなければ、今後も「返済条件変更等を行ったにもかかわらず倒産する企業」は続発するであろう。
    ※金融円滑化法利用後倒産:金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等を受けていたことが取材で判明した企業倒産


    今後の見通し

    ■“アベノミクス効果”か、負担感増大か

    4月1日、消費税率が5%から8%へと引き上げられた。過去を振り返ると、前回の増税時である1997年4月の百貨店(既存店)の売上は前年同月比14.0%減(日本百貨店協会)で、下落幅は統計開始以降最大であった。また、スーパーマーケット(既存店)の売上も同4.6%の減少(日本チェーンストア協会)と、消費税率が引き上げられた後、駆け込み需要の反動減、消費マインドの落ち込みにより、小売業の不振が統計にはっきりと表れた。企業倒産をみても、小売業は1997年度(前年度比13.0%増)から2000年度(同10.3%増)まで4年連続で前年度増加を記録。消費税率引き上げ後、4年連続前年度比増加となったのは、小売業のみである。今回の増税後も小売業に注目である。2013年度の小売業の倒産は1981件(前年度比0.2%減)とほぼ横ばい。増加こそしていないものの、企業倒産全体が減少したなかで小売業は減少していない。デフレ経済のあおりを受けた商品の低価格化進行は著しいうえに、円安などの影響による原材料費値上がり分を価格に転嫁できず、収益性が低下している企業は多い。“アベノミクス効果”を期待したいところだが、物価上昇による家計の負担感増大もあり、小売業を取り巻く環境は厳しそうだ。

    また、道路貨物運送業の倒産件数(290件)が2年連続で前年度比増加となるなど運輸業の業界環境はさらに厳しい。円安の影響でトラックの主な燃料である軽油価格の上昇が続くなか、消費税だけではなく、同じタイミングで地球温暖化対策税も引き上げられるため、4月以降一段と燃料費は上がる。実際に、資源エネルギー庁の発表によると4月一週の軽油小売価格は、前週と比べ3.5円大きく値上がりして142.6円/L(税込み)となった。経費の大半を占める燃料費上昇が続く限り、2014年度も行き詰まる運輸業者は多いとみられる。

    ■返済猶予状態の企業は未だ多く、2014年度も倒産増加懸念払拭できず

    中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針のなかに、顧客企業のライフステージ等に応じて提案するソリューションの例として、「債務整理等を前提とした顧客企業の再起に向けた適切な助言」や、「顧客企業が自主廃業を選択する場合の取引先対応等を含めた円滑な処理等への協力」といった文言が明記されてから、3年が経過した。この監督指針は、金融機関が単に返済条件の変更等により業況が厳しい企業の資金繰りを支援する(延命させる)だけではなく、“円満な退出”を含めた事業の選択と集中、再編を推し進めることの必要性を示している。

    しかし、中小企業者向けの「貸付条件の変更等の状況」(金融庁)をみると、2012年度上半期約61.0万件、2012年度下半期は約61.6万件、2013年度上半期は約58.9万件と貸付条件変更数は横ばいで推移。未だ返済猶予で凌いでいる企業が多いことに加え、業界環境が改善している企業が抜本的な経営改革を行わず返済緩和状態に甘んじているという現実もある。帝国データバンク景気動向調査において景気DIが3月調査で初めて50を上回るなど、景気が回復傾向を示しているときこそ返済条件を当初の約定通りに戻すことが期待されるが、理想通りにはいかず中小企業金融円滑化法施行時と状況があまり変わっていない企業は多い。

    なぜならば、景気の先行きへの期待感はあるものの、足元では、(1)円安などを背景とした原材料・燃料価格の高騰、(2)技術者を中心とした人手不足による労務費高騰、(3)デフレからの脱却の遅れによる価格競争、さらには、(4)消費税率引き上げに伴う消費マインドの低下、駆け込み需要からの反動減、(5)金融機関のスタンスの変化など、懸念事項が山積しているからである。2013年度の企業倒産は、前年度比5.7%の減少となったが、問題の先送り感は否めない。とはいえ、政府が公共工事などの2014年度予算の執行を本年度上半期に集中させる方針であることから、倒産件数が急に増加するとは考えにくい。こうした背景を踏まえれば、2014年度の企業倒産件数は増加懸念が払拭されない状態のまま、一進一退で推移する可能性が高い。

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