2011年報 2011年(平成23年) 1月1日〜12月31日 |
倒産件数は1万1369件、2年連続の前年比減少 負債総額は3兆4637億3300万円、過去10年で最小 |
|---|
| 倒産件数 | 1万1369件 | 負債総額 | 3兆4637億3300万円 |
|---|---|---|---|
| 前年比 | ▲2.5% | 前年比 | ▲50.1% |
| 2010年 | 1万1658件 | 2010年 | 6兆9366億400万円 |
件数推移グラフ
負債総額推移グラフ
■件数
ポイント 2年連続の前年比減少
2011年の倒産件数は1万1369件と、2010年の1万1658件に比べ2.5%減少し、2年連続で前年を下回った。四半期別では第2四半期を除く3期で減少となり、月別では増減を繰り返しながらも、ほぼ横ばい状態の推移となった。
要因・背景
1.中小企業金融円滑化法をはじめとする各種金融支援策、被災地向けの特例措置などの効果もあり、倒産は小康状態続く
2.大型倒産の減少続くも、負債5000万円未満の小規模倒産は増加し、過去10年で最多
■負債総額
ポイント 過去10年で最小
2011年の負債総額は3兆4637億3300万円に半減し、過去10年で最小を記録した。四半期ベースでは2010年第4四半期以降5期連続の前年同期比減少となり、2011年は第3四半期を除く3期で1兆円を下回った。
要因・背景
1.負債額トップは、(株)安愚楽牧場(8月、栃木県)の4330億8300万円
2.負債100億円以上の大型倒産は27件(前年39件)に減少し、過去10年で最少
■業種別
ポイント 小売業とサービス業を除く5業種で前年比減少
業種別に見ると、小売業とサービス業を除く5業種で前年比減少となり、減少率では製造業(9.9%減)、運輸・通信業(5.8%減)、不動産業(4.8%減)と続いた。一方、小売業(4.2%増)とサービス業(0.4%増)の内需型業種では前年を上回った。
要因・背景
1.製造業…電気機械(108件、前年比29.4%減)、鉄鋼、非鉄金属・金属製品(193件、同27.7%減)、一般機械(230件、同18.7%減)などが大幅減少
2.小売業…外食(688件、前年比10.4%増)が過去10年で最多
3.サービス業…ホテル・旅館(129件、前年比34.4%増)が過去10年で最多
■主因別
ポイント 「不況型倒産」の構成比が84.3%、過去10年で最高
主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は9584件(前年9740件)。構成比は84.3%に達し、前年を0.8ポイント上回り、過去10年で最高となった。
要因・背景
1.販売不振(9135件)の構成比が80.4%で、過去10年で初めて80%を超える
2.「円高関連倒産」は85件判明、前年比46.6%増となり、集計開始の2008年以降で最多
■規模別
ポイント 負債100億円以上の大型倒産、過去10年で最少
負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は5803件と、前年の5739件を1.1%上回り規模別で唯一の増加となり、過去10年で最多。一方、負債100億円以上の大型倒産は27件にとどまり、過去10年で最少となるなど、倒産の小規模化が顕著であった。
要因・背景
1.負債100億円以上の倒産(27件、前年39件)、全業種で1ケタの件数にとどまる
2.負債5000万円未満の倒産、中部(381件、前年比34.2%増)、中国(204件、同56.9%増)の2地域で増加目立つ
■地域別
ポイント 9地域中6地域で前年比減少
地域別に見ると、関東(4288件)、近畿(2850件)など6地域で前年を下回った。なかでも東北(446件)は前年比20.9%の大幅減で、過去10年で最少となった。一方、北海道(339件)、中部(1640件)、中国(481件)の3地域は前年を上回った。
要因・背景
1.東北は、各種救済策と復興需要で宮城(84件、前年比42.9%減)を中心に大幅減
2.中部は、とくに愛知(853件)が建設、製造業など6業種で増加し、過去10年で最多
■態様別
ポイント 破産の構成比が93.3%、過去10年で最高
態様別に見ると、破産は1万611件(前年1万809件)で前年比1.8%減となったものの、構成比は93.3%に達し、過去10年で最高となった。会社更生法は6件(前年15件)で4年ぶりに1ケタの件数に、民事再生法は479件(前年496件)と過去10年で最少となった。
要因・背景
1.再建型手続きが困難な中小・零細企業の構成比が高まり、破産申請が高水準で推移
2.民事再生法は、2年連続で500件以下と低水準続く
■業歴別
ポイント 業歴30年以上の構成比30.6%、過去10年で最高
業歴別に見ると、業歴3年未満の倒産は362件(前年446件)発生し、構成比は3.2%(前年3.8%)となり、前年比0.6ポイントの減少となった。一方、業歴30年以上の倒産は3484件(前年3424件)発生。構成比は30.6%(前年29.4%)で、前年を1.2ポイント上回り、過去10年で最高となった。
要因・背景
1.業歴3年未満の構成比、サービス業が31.5%で全業種中トップ
2.業歴30年以上の倒産、小売業(573件、前年比16.9%増)で増加が目立つ
■上場企業倒産
2011年の上場企業倒産は、東証1部上場の(株)サンシティ(民事再生法、9月)など4件にとどまり、5年ぶりに5件を下回る低水準となった。
■大型倒産
2011年の負債額トップは、(株)安愚楽牧場(民事再生法→破産、8月)の4330億8300万円。
負債100億円以上の大型倒産は27件(前年39件)にとどまっており、過去10年で最少となった。
■注目の倒産動向
円高関連倒産 85件判明、前年比46.6%の大幅増加
2011年に円高の影響を受けた倒産は85件判明した。2010年(58件)に比べ46.6%の大幅増加となり、集計開始の2008年以降で最多。このうち、デリバティブ損失による倒産は32件(前年25件)を数えた。10月に月間最多の15件を記録するなど、9月以降は2ケタ台での推移が続いており、今後も小規模業者を中心に倒産増加が懸念される。
返済猶予(リスケ)後倒産 261件判明、前年の2.3倍に急増
2011年に返済猶予後に倒産に至ったケースは、261件判明し、2010年(112件)の2.3倍に急増。11月には3、4月の過去最多(25件)を更新する36件を記録した。このうち、「中小企業金融円滑化法」利用後に倒産したケースは194件判明し、12月には27件と過去最多を更新。同法利用企業の息切れが目立ちはじめており、今後もさらなる増加が見込まれる。
今後の見通し
■倒産件数は2年連続減少、負債総額は過去10年で最小
2011年の企業倒産は1万1369件となり、2010年の1万1658件に比べ2.5%下回り、2年連続の減少となった。震災直後は一時的な倒産急増が懸念されたものの、中小企業金融円滑化法をはじめとする各種金融支援策と被災企業向けの特例措置などで、倒産は小康状態が続いた。
負債総額は3兆4637億3300万円に半減し、過去10年で最小となった。負債1000億円以上の超大型倒産も、安愚楽牧場(栃木)など3件にとどまった(2010年は7件)。
業種別では、円滑化法の利用が多いとみられる製造業(1590件)が前年を9.9%下回った。地域別では、東北(446件)が前年比20.9%の大幅減少で、各種救済策や復興需要の効果もあり、過去10年で最少の倒産件数となった。
■一方、被災地以外で「震災関連倒産」多発、「円高倒産」も4割増
2011年は、相次ぐ自然災害が猛威をふるう1年となった。1月の新燃岳噴火にはじまり、3月には東日本大震災と福島原発事故が発生。企業活動にも多大な影響を与え、サプライチェーン寸断、電力不足、放射能汚染に伴う風評被害、消費マインド停滞による買い控えを通じ、国内景気は急速に悪化。震災による直接、間接の影響を受けた「東日本大震災関連倒産」が各地で相次ぎ、95年の阪神大震災時を大きく上回る発生状況が続いた。その後、10月にはタイの洪水被害が発生。震災後の混乱から立ち直りつつあった製造業を中心に、影響が広がった。
10月下旬に1ドル=75円台の戦後最高値を連日更新した円相場も、国内産業を牽引してきた輸出企業を苦境に陥れた。2011年の「円高関連倒産」は85件判明。集計開始の2008年以降で最多の2010年(58件)に比べ46.6%の大幅増となった。「デリバティブ損失」による倒産に加え、年後半にかけては大企業の海外シフトの動きを受け、体力的に劣る中小製造業を中心に「受注減少」から倒産するケースが増加しており、今後も小規模業者の倒産増が懸念される。
■2012年の企業倒産、緩やかに増加へ
多くの中小企業は、震災、円高、デフレなど、外部環境の悪化で業績回復が遅れている。にもかかわらず、倒産は2年連続の減少となった。震災後の各種救済措置とともに、倒産抑制に効果を発揮したのが「中小企業金融円滑化法」である。金融庁は12月27日、同法の期限を2013年3月末まで1年延長する方針を発表した。これにより、現在のほぼ横ばい状態の倒産推移がしばらく続く可能性もある。
しかし、リスケ継続は抜本的な企業再生につながらず、あくまで倒産時期の先送りに過ぎない。円滑化法を利用して返済猶予を受けながら倒産した企業は、2011年1年間で194件判明。9月以降4ヵ月連続で、月間最多を更新している。その大半が、猶予期間中に業績回復できず企業自身が力尽きたケースであり、推定30万社前後とみられる同法利用企業の息切れが年後半から顕在化し始めている。金融庁が11月に公表した「資本性借入金」の積極的活用による支援策も、円滑化法ほどの倒産抑制効果を生むかは不透明。今後は金融機関が企業選別の動きを徐々に強めていくと予想されることから、潜在的な倒産増加リスクは依然高いままだ。
このため企業倒産は、復興需要の本格化が期待される東北を除き、現在の横ばい推移から、年後半にかけて緩やかに増加するとみられる。被災地以外の零細企業の倒産増が懸念される建設業、円高の影響本格化が予想される製造業、消費増税等の将来不安から販売不振による倒産増が続く小売・サービス業など、懸念材料が山積している。被災地企業の二重ローン問題解消のための公的な再生支援機関も、今後どこまで機能するか未知数の部分があり、倒産や廃業などの形で業績不振のまま事業継続を断念する企業が相次ぐおそれもある。
2012年はまさしく、中小企業再生の真価が問われる1年となる。
詳細は本文(PDF 568KB)をご覧ください。

