倒産集計

2011年度上半期報

2011年(平成23年)4月〜9月

倒産件数は5726件、2年連続の前年同期比減少
負債総額は1兆8855億1700万円、過去10年で最小
件数推移 2000〜2011年度、半期ベース
負債総額推移 2000〜2011年度、半期ベース
倒産件数 5726件 負債総額 1兆8855億1700万円
前 期 比 件数 ▲0.3% 前期 5745件
負債 ▲2.1% 前期 1兆9254億7600万円
前年同期比 件数 ▲0.4% 前年同期 5751件
負債 ▲28.4% 前年同期 2兆6319億円

■件数

ポイント 2年連続の前年同期比減少も、ほぼ横ばい

2011年度上半期の倒産件数は5726件と、前年同期の5751件を0.4%下回り、2年連続の前年同期比減少。しかし、減少幅は縮小しており、ほぼ横ばいとなった。半期ベースで見ると、2009年度上半期以降、5期連続して前期を下回った。四半期ベースも2期ぶりの前年同期比減少となるとともに、2010年度第2四半期以来4期ぶりに前期を下回った。

要因・背景

1.各種金融支援策や復興需要もあり、東北(231件、前年同期比14.8%減)を中心に減少

2.大型倒産の減少続くも、負債1億円未満の小規模倒産は増加

■負債総額

ポイント 半期ベースで2期連続の2兆円割れ、過去10年で最小

2011年度上半期の負債総額は1兆8855億1700万円と、半期ベースで2期連続の2兆円割れとなり、過去10年で最小を記録した。四半期ベースでは、4期連続の前年同期比減少となったが、2010年度第2四半期以来4期ぶりに前期を上回るとともに1兆円を超えた。

要因・背景

1.負債額トップは、(株)安愚楽牧場(8月、栃木県)の4330億8300万円

2.負債100億円以上の倒産は10件(前年同期18件)にとどまる

■業種別

ポイント 小売業とサービス業を除く5業種で前年同期比減少

業種別に見ると、小売業とサービス業を除く5業種で前年同期比減少となった。建設業(1563件、前年同期比1.3%減)が構成比27.3%を占めトップ。減少率では不動産業(7.8%減)、運輸・通信業(7.3%減)、製造業(6.1%減)と続いた。一方、サービス業(5.2%増)と小売業(5.0%増)の内需型業種では前年同期を上回った。

要因・背景

1.建設業…第1四半期は前年同期比5.8%増も、第2四半期は東北(33件、前年同期比34.0%減)を中心に7.9%の減少に転じる

2.サービス業…ホテル・旅館(73件、前年同期比65.9%増)は過去10年で最多

■主因別

ポイント 「不況型倒産」構成比は84.6%、過去10年で最高

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は4847件。構成比は84.6%と、前期、前年同期をともに0.8ポイント上回り、過去10年で最高となった。

要因・背景

1.販売不振(4601件)の構成比が80.4%で、過去10年で初めて80%を超える

2.「不況型倒産」構成比、サービス業と不動産業を除く5業種で85%以上の高水準

■規模別

ポイント 負債100億円以上の倒産が過去10年で最少

負債額別に見ると、負債5000万円未満の零細企業の倒産は2915件と、前年同期の2840件を2.6%上回り、半期ベースでは過去10年で最多となった。一方、負債100億円以上の倒産は10件にとどまり、過去10年で最少。資本金別で見ても、資本金1億円以上の倒産が97件と、前年同期の115件を15.7%下回るなど、大型倒産の減少が目立った。

要因・背景

1.負債10億円以上の倒産(218件、前年同期254件)は過去10年で最少

2.負債5000万円未満の倒産、中部(381件、前年同期284件)で増加目立つ

■地域別

ポイント 9地域中5地域で前年同期比減少

地域別に見ると、関東(2162件)、近畿(1398件)など5地域で前年同期を下回った。とくに東北(231件)は前年同期比14.8%の大幅減で、2004年度下半期以来13期ぶりに250件を下回った。一方、中部(817件)、中国(249件)など4地域では前年同期を上回った。

要因・背景

1.東北は宮城(32件)が前年同期比38.5%の大幅減で、過去10年で最少

2.中部は、愛知で建設業(122件、前年同期比32.6%増)の増加が目立つ

■態様別

ポイント 破産の構成比が過去10年で最高

態様別に見ると、破産は5357件(前年同期5363件)で前年同期比0.1%(6件)の減少となったものの、構成比(93.6%)は過去10年で最高となった。会社更生法は2件(前年同期3件)で3期連続の1ケタ、民事再生法は248件(同238件)で前年同期比4.2%増となった。

要因・背景

1.再建型手続きが困難な中小・零細企業の構成比高まり、破産申請が高水準で推移

2.民事再生法は、3期連続で250件以下と低水準

■業歴別

ポイント 業歴30年以上の構成比31.2%、過去10年で最高

業歴別に見ると、業歴3年未満の倒産は160件(前年同期219件)発生し、構成比は2.8%(同3.8%)となり、前年同期比1.0ポイントの減少。一方、業歴30年以上の倒産は1785件(同1704件)発生、構成比は31.2%(同29.6%)となり、前年同期比1.6ポイント増、過去10年で最高となった。

要因・背景

1.業歴3年未満の構成比、小売業が33.1%で全業種中トップ

2.業歴30年以上の倒産、サービス業(242件、前年同期比26.7%増)で増加が目立つ

■上場企業倒産

2011年度上半期の上場企業倒産は、東証1部上場の(株)サンシティ(民事再生法、9月)など3件にとどまり、前年同期の5件を下回った。

■大型倒産

2011年度上半期の負債額トップは、(株)安愚楽牧場(民事再生法、8月)の4330億8300万円。負債1000億円以上の倒産は前年同期と同じく2件にとどまった。

負債100億円以上の大型倒産は10件にとどまり、半期ベースでは過去10年で最少となった。

■注目の倒産動向

円高関連倒産    28件判明、前年同期比21.7%の増加

2011年度上半期に円高の影響を受けた倒産は28件判明、2010年度上半期(23件)に比べ21.7%の増加となった。このうち、デリバティブ損失による倒産は11件(前年同期8件)と、構成比は39.3%を占めた。8月(8件)、9月(10件)と2ヵ月連続で今年最多を更新しており、年末にかけて関連倒産の増加が予想される。

返済猶予(リスケ)後倒産    121件判明、前年同期の2倍

2011年度上半期に返済猶予後に倒産に至ったケースは、121件判明し、2010年度上半期(61件)に比べ2倍に急増。9月には3、4月に記録した過去最多の25件に迫る24件判明した。このうち中小業金融円滑化法による返済猶予後に倒産したケースは90件判明し、9月には19件と過去最多を記録した。円滑化法利用後倒産を中心に、今後さらなる増加が見込まれる。



今後の見通し

■倒産件数はほぼ横ばい、小規模倒産はすでに増加

2011年度上半期の倒産は5726件と、上半期としては2年連続で前年同期を下回った。しかし減少幅は、前期比0.3%減、前年同期比も0.4%減とほぼ横ばいとなった。9月(847件、前年同月比10.2%減)の落ち込みが大きく2年連続の減少となったが、各月の推移を見ると倒産件数は増減を繰り返しながらも、震災、円高、原料高の影響などで緩やかに増加基調にシフトしつつある。負債総額は1兆8855億1700万円で、過去10年で最小となった。負債100億円以上の倒産が10件にとどまるなど、大型倒産の減少が続いた。上場企業倒産も3件(前年同期5件)にとどまった。地域別では、各種支援策と復興需要の増加もあり、東北が唯一2ケタの減少。業種別では、内需停滞で小売業とサービス業が増加する一方、製造業の減少が目立った。他方、負債規模別では1億円未満が増加しており、小規模倒産はすでに増加に転じている。

■各種救済措置で、企業倒産の表面化は先送り

10月3日に発表された9月の日銀短観によると、企業の景況感は、震災の影響で落ち込んだ前回の6月調査から大きく改善した。日本自動車工業会が9月30日に公表した8月の国内自動車生産実績を見ても、震災後初めて前年同月を上回った。自動車業界をはじめとする生産回復や消費自粛の一服を受け、9月の「東日本大震災関連倒産」も減少した。しかし、世界経済の減速や円高の定着などで、先行き不透明感は増している。足元の倒産減少も、企業環境が好転したわけではなく、中小企業が手形自体を振り出さないため資金繰り破たんがそもそも発生しづらいうえ、各種救済策で厳しい企業の実態判明を先送りしているに過ぎない。全国銀行協会が9月29日に公表した「東日本大震災による不渡手形の状況」によれば、震災から約6ヵ月の8月末時点で、特例措置により不渡報告への掲載等が猶予された手形・小切手は2405枚、金額は22億4806万円にのぼった。9月16日の金融庁発表によれば、被災3県で震災以降に行われた企業向けの返済猶予等は1万1559件、金額は5020億円に達した。これらの企業の多くは、すでに資金的に立ち行かなくなっており、外部環境の好転がなければ早晩倒産手続き入りする可能性が高く、今後、企業倒産を増加させる大きな要因となりかねない。

■「円滑化法利用後倒産」「円高関連倒産」の増加続く

中小企業金融円滑化法等を利用して返済猶予を受けながら、後に倒産に追い込まれるケースが急増している。2011年度上半期の「返済猶予後倒産」は121件判明し、前年同期(61件)の2倍にまで達した。推定30万社前後とみられる同法利用企業数からみればごくわずかであるが、返済猶予の効果が次第に薄れつつあるのは明らかだ。今後さらなる倒産増加が見込まれる。長引く円高の影響も大きい。2011年度上半期の「円高関連倒産」は28件判明し、前年同期(23件)を5件上回った。とくに8月(8件)、9月(10件)と2ヵ月連続で今年最多を更新するなど、戦後最高値をつけた8月以降、増加傾向が鮮明となっている。対ドル、ユーロともに歴史的な円高水準が続くなか、欧州の経済危機、米国の景気悪化が日本に飛び火すれば、国内大手を含めた輸出企業が一気に落ち込む可能性もある。2万社を超える輸出関連の中小下請け企業の体力は限界に達しつつあり、年末にかけての関連倒産の多発も現実味を帯びる。ここにきて復興需要も増加してきたが、一部業界、地域限定の感は否めない。10月以降も継続・拡充される各種救済措置による下支えはあるものの、円高、震災、原料高、銀行の支援姿勢の硬化懸念など、企業を取り巻く環境は一層厳しさを増している。これから年末にかけても、経営体力が脆弱な中小・零細企業を中心に、倒産増加基調が強まる可能性は十分にある。


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