2010年度報 (2010年4月1日〜2011年3月31日) |
倒産件数は1万1496件、2年連続の前年度比減少 負債総額は4兆5573億7600万円、過去10年で最少 |
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| 倒産件数 | 1万1496件 | 負債総額 | 4兆5573億7600万円 |
|---|---|---|---|
| 前年度比 | 10.6%減 | 前年度比 | 35.1%減 |
| 2009年度 | 1万2866件 | 2009年度 | 7兆214億6100万円 |
件数推移グラフ
負債総額推移グラフ
■件数
ポイント 2年連続の前年度比減少
2010年度の倒産件数は1万1496件と、前年度の1万2866件を10.6%下回り、2年連続の前年度比減少となった。月別推移をみると、4月以降、前年同月比2ケタの減少率が4ヵ月続くなど、年度前半に大幅減少が目立った。年度後半にかけては1月に1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回るなど、減少幅は縮小した。
要因・背景
1.各種金融支援策の効果により、全業種、全地域で前年度下回る
2.負債5000万円未満の零細企業の倒産は高止まり続く
■負債総額
ポイント 2年連続の前年度比減少、過去10年で最少
2010年度の負債総額は4兆5573億7600万円(前年度7兆214億6100万円)となり、前年度比35.1%の減少。2年連続で前年度を下回り、過去10年で最少を記録した。月別推移では、9月に日本振興銀行(株)や(株)武富士の大型倒産が発生したものの、4月以降総じて低水準が続いた。
要因・背景
1.負債額トップは、日本振興銀行(株)(東京都)の6805億6300万円
2.負債100億円以上の大型倒産は35件(前年度58件)、過去10年で最少
■業種別
ポイント 全7業種で前年度比減少
業種別にみると、7業種すべてで前年度を下回った。不動産業(350件)が前年度比20.1%の大幅減少となったほか、製造業(1712件、前年度比▲14.8%)、卸売業(1636件、同▲14.1%)などでも減少が目立った。
要因・背景
1.不動産業…土地・建物売買(114件、前年度比▲33.7%、58件減)の減少目立つ
2.製造業…食料品(144件、前年度比▲25.0%、48件減)、電気機械器具(148件、同▲16.9%、30件減)などで減少
■主因別
ポイント 「不況型倒産」の構成比が83.8%、過去10年で最高
主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は9629件(前年度1万526件)。構成比は83.8%で、前年度(81.8%)を2.0ポイント上回り、過去10年で最高となった。
要因・背景
1.収益環境厳しく、販売不振(9138件)の構成比(79.5%)が前年度比3.9ポイント増
2.建設業の「不況型倒産」構成比が90.3%(前年度比+0.5ポイント)で全業種中トップ
■規模別
ポイント 負債100億円以上の大型倒産35件、過去10年で最少
負債額別にみると、負債5000万円未満の零細企業の倒産は5726件で、前年度比0.2%減(13件)にとどまり、構成比は49.8%。一方、負債100億円以上の大型倒産は35件と前年度比39.7%(23件)の大幅減少、過去10年で最少となった。資本金別でも資本金1億円以上の倒産が236件と、前年度の289件を18.3%(53件)下回るなど、中堅・大企業の倒産減少が目立った。
要因・背景
1.私的整理手法の広がりや外需主導による景気回復の恩恵もあり、大型倒産は減少
2.負債5000万円未満の製造業(740件、前年度比+5.0%)の倒産が増加
■地域別
ポイント 全9地域で前年度下回る
地域別にみると、9地域すべてで前年度を下回った。なかでも、北陸(367件、前年度比▲22.2%)、四国(229件、同▲23.2%)は前年度比20%を上回る大幅減少となったほか、関東(4395件、前年度比500件減)、近畿(2954件、同377件減)などでも減少が目立った。
要因・背景
1.北陸、四国は、機械製造や金属製品製造などで減少目立つ
2.関東は、不動産業(152件、前年度比▲30.9%、68件減)で大幅減少
■態様別
ポイント 破産が全体の9割超占める
態様別にみると、破産は1万663件(前年度1万1863件)で前年度比10.1%(1200件)の減少、構成比は92.8%を占めた。会社更生法は10件(同21件)にとどまり、前年度比52.4%の大幅減少。民事再生法(480件)も前年度比26.9%の減少となった。一方、特別清算(343件、前年度比+5.5%)は唯一、前年度を上回った。
要因・背景
1.再建型手続きが困難な中小・零細企業による破産申請が高水準で推移
2.中堅・大手企業の倒産減少が影響し、会社更生法、民事再生法が大幅減
■業歴別
ポイント 業歴30年以上の構成比30.1%
業歴別にみると、業歴10年未満の倒産は2750件(前年度3069件)発生し、構成比は23.9%(同23.9%)となった。一方、業歴30年以上の倒産は3461件(同3795件)発生、構成比は30.1%(同29.5%)となり、前年同期を0.6ポイント上回った。
要因・背景
1.資産業績不振、資金繰り悪化が影響し、業歴30年以上の倒産が高水準で推移
2.業歴30年以上の構成比、製造業が40.2%で全業種中トップ
■上場企業倒産
2010年度の上場企業倒産は、東証1部上場の(株)武富士(負債4336億800万円、東京都、9月)、日本振興銀行(株)関連の(株)ラ・パルレ(民事再生法、10月)、中小企業信用機構(株)(民事再生法、1月)など9件(前年度7件)発生した<なお、2010年12月のシルバー精工(株)(銀行取引停止)は除く>。
■大型倒産
2010年度の負債額トップは、日本振興銀行(株)(民事再生法、9月)の6805億6300万円。以下、(株)武富士(負債4336億800万円、会社更生法、9月)、(株)林原(負債1322億7100万円、会社更生法、2月)、中小企業保証機構(株)(負債1269億6200万円、民事再生法、10月)と続き、負債1000億円以上の倒産は上記4件と、前年度の7件を下回った。
■注目の倒産動向
円高関連倒産 64件判明、前年度比64.1%の大幅増加
2010年度に円高の影響を受けた倒産は、64件判明した。2009年度(39件)に比べ64.1%の大幅増加となった。なかでも、デリバティブ損失による倒産は29件(前年度17件)と、構成比は45.3%とほぼ半数を占めた。4月5日時点で1ドル=84円台と一時に比べ円安に戻したものの、依然として高値水準であることに変わりはなく、影響の長期化が懸念される。
返済猶予(リスケ)後倒産 148件判明、前年度の2.5倍に急増
2010年度に返済猶予後に倒産に至ったケースは、148件判明。2009年度(59件)に比べ150.8%増と、2.5倍に急増。3月には月間最多の25件判明し、過去最多となった。また、中小企業金融円滑化法による返済猶予を受けた後に倒産に至ったケースは2010年7月以降散発し、53件判明。法施行から1年4ヵ月が経ち、返済再開のタイミングでのさらなる倒産増が懸念される。
今後の見通し
■件数、負債ともに2年連続の前年度比減少
2010年度の倒産は1万1496件で、前年度比10.6%の2ケタ減少となった。各種政策効果で減少した2009年度の流れをそのままに、2年連続で前年度を下回った。「中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予のほか、「景気対応緊急保証」「セーフティネット貸付」など、手厚い金融支援策により多くの企業が資金繰り破たんを回避した。堅調な外需や景気刺激策による下支えも倒産抑制に働いた。他方、負債総額は4兆5573億7600万円で前年度比35.1%の大幅減少、2年連続で前年度を下回った。負債1兆円を上回る超大型倒産は発生せず、負債100億円以上の倒産も35件(前年度58件)と、過去10年で最少を記録したことが主な要因となった。
■業種別では製造業、地域別では関東の減少目立つ
業種別では全7業種で前年度を下回った。建設、製造、卸売、サービス業で前年度を200件超下回る大幅減少。地域別でも全9地域で前年度を下回った。特に関東、近畿、九州の減少が目立つ。各種政策による緩やかな景気回復と生産活動の改善が各産業、地域の倒産減少につながった。しかし、主因別では「不況型倒産」の構成比が83.8%と過去10年で最高となったうえ、負債規模別では5000万円未満の零細倒産が高止まっており、政策効果が行き届きにくい小規模業者を取り巻く環境は厳しいままだ。このほか、「返済猶予後倒産」が148件判明、前年度の2.5倍に急増。「円高関連倒産」も64件判明し、前年度比64.1%の大幅増加となった。
■東日本大震災の発生で回復過程から一転、先行き不透明感強まる
3月11日に東北・関東を襲った未曾有の大災害は、外需主導で緩やかな回復を続けていた国内景気に大きな打撃を与えた。地震から約1ヵ月経てなお、被害の全容は把握できておらず、日本経済全体への深刻な影響は長期化の様相を呈している。津波や地震による直接的な被害はもちろん、福島第一原発の事故、電力不足による計画停電、生産設備の停止や物流網の混乱を通じて、すでに製造、流通、サービスなど多方面かつ全国的に影響が広がっている。震災による直接、間接の影響を受けた「東日本大震災関連倒産」も複数判明している。今から16年前の95年1月に起こった阪神大震災後にも、関連倒産が95年2月〜97年12月の約3年間の累計で394件判明。直接被災した企業だけでなく、被災企業の取引先もまた、商品や材料調達難や売掛金回収難から倒産しており、今後は間接被害を受けた倒産多発が懸念される。
■企業倒産に与える影響は阪神大震災以上
帝国データバンクが4月5日に発表した『震災の影響と復興支援に対する企業の意識調査』によると、東日本大震災による自社への影響について全国1万747社に尋ねたところ、生産、販売、サービス、取引など企業活動全般について、約6割の企業(6189社)で需要が減少すると捉えていることが分かった。具体的には、すでに顕在化している自動車やテレビ等の基幹部品の調達難による生産停滞の長期化、各地の下請企業の業況悪化が懸念されるほか、今夏にも実施予定の計画停電がもたらす各産業への影響も甚大だ。旅館・ホテル、パチンコホール、広告、百貨店、外食など自粛ムード継続による流通、サービス業の業績悪化は避けられず、原発の風評被害を受ける農水産業への影響も無視できない。現時点で震災の余波が今後どこまで広がるか未知数な部分も多いが、企業倒産に与える影響は阪神大震災以上となる可能性が高い。95年当時と同様に、緊急支援策や復興需要等で被災地域の倒産は一定期間減少することもありうるが、その効果は一時的なものにとどまるおそれもあり注意が必要だ。中長期的には復興需要による景気押し上げ効果も期待されるが、震災以前から金融円滑化法でリスケ延命中だった企業は全国各地にあり、実体経済の悪化が長引けば、企業倒産は早期に増加局面に転じるおそれも十分にある。
詳細は資料(PDF 563KB)をご覧ください。

