倒産集計

2009年10月報

倒産件数は1070件、2ヵ月連続の前年同月比減少
負債総額は2513億9400万円、集計基準変更の2005年4月以降で最少

倒産件数 1070件 負債総額 2513億9400万円
前月比 13.1%増 前月比 29.8%減
前月 946件 前月 3580億2900万円
前年同月比 13.1%減 前年同月比 74.3%減
前年同月 1231件 前年同月 9790億1500万円

■件数

ポイント 2ヵ月連続の前年同月比減少

倒産件数は1070件(前月946件、前年同月1231件)で、今年最低の前月は13.1%上回ったものの、集計基準変更後で最多(当時)となった前年同月と比べ13.1%下回り、2ヵ月連続の前年同月比減少となった。

要因・背景

1.全業種で前年同月比減少、2005年4月の集計基準変更後で初

2.九州が53件で前年同月比55.1%の大幅減少、地方圏は総じて低水準

3.負債5000万円未満は491件で前月比15.8%の増加、中小企業の資金繰りは依然厳しく

■負債総額

ポイント 集計基準変更後で最少を記録

負債総額は2513億9400万円(前月3580億2900万円、前年同月9790億1500万円)で、前月比は29.8%、前年同月比も74.3%の大幅減少。8月の2753億4400万円を下回り今年最少、集計基準変更の2005年4月以降でも最少を記録した。倒産1件あたりの平均負債額も2億3500万円と、8月の2億6400万円を下回り最低を更新するなど、負債総額は縮小傾向が続いた。

要因・背景

1.負債100億円以上が苫小牧緑化開発(株)(112億5600万円)の1件、基準変更後で最低

2.緊急支援策に加え、事業再生ADRなど私的整理の選択肢が広がり、大型倒産は沈静化

■業種別

ポイント 全業種で前年同月比減少、集計基準変更後で初

業種別に見ると、集計基準変更後で初めて全業種で前年同月を下回った。とくに不動産業(28件)は前年同月比41.7%の大幅減少で、2008年3月の28件以来1年7ヵ月ぶりの20件台。また、小売業(181件、前年同月比▲21.6%)、運輸・通信業(39件、同▲26.4%)でも減少が目立った。一方、建設業(295件、同▲9.0%)が、前月比では35.9%の大幅増加となった。

要因・背景

1.不動産業…新規開発の停滞に伴う資金負担の軽減もあり、マンション業者の倒産が一服

2.小売業…最多件数となった前年同月の反動減の要素が強く、依然高水準で推移

3.建設業…公共工事前倒し発注など、政策的な下支え効果が息切れの可能性

■主因別

ポイント 「不況型倒産」の構成比82.4%、集計基準変更後で最高

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は882件(前月774件、前年同月988件)となった。構成比は82.4%(同81.8%、同80.3%)で前月比は0.6ポイント、前年同月比でも2.1ポイントの増加。2009年8月と並び、集計基準変更後で最高を記録した。

要因・背景

1.建設業の「不況型倒産」(263件)は構成比89.2%、全業種中最高を記録

2.年初の生産調整の余波続き「減産関連倒産」が20件、2008年12月からの累計は213件

3.緊急保証制度利用後の倒産が8件発生、2008年11月からの累計は70件


倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

ポイント 負債100億円以上の大型倒産は1件、集計基準変更後で最低

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産が491件、構成比は45.9%を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産は1件にとどまり、集計基準変更後で最低となった。資本金別でも、個人経営と資本金1000万円未満の倒産が541件、構成比は50.6%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業(下表の定義参照)を見ると、中小企業は1069件で倒産全体の99.9%を占めた。また、小規模企業は933件と構成比87.2%を占め、構成比は集計基準変更後で最高を記録するなど、小規模倒産が依然として高水準で推移している。

要因・背景

1.中堅・大企業向け支援策の浸透もあり、負債100億円以上の倒産は6ヵ月連続の1ケタ

2.業績不振の長期化と借り入れ負担により、中小企業の倒産が構成比99.9%占める

■地域別

ポイント 北海道、東北、九州など、地方圏で減少目立つ

地域別に見ると、9地域中、7地域で前年同月比減少となった。なかでも九州(53件)は55.1%の大幅減少となったほか、北海道(27件、前年同月比▲27.0%)、東北(58件、同▲30.1%)、中国(38件、同▲29.6%)でも減少が目立った。一方、北陸(51件、同+6.3%)、四国(33件、同+22.2%)の2地域は前年同月比増加となった。とくに北陸は2008年11月、2009年1月、6月の49件をそれぞれ上回り、最多を記録した。

要因・背景

1.九州は、建設業(17件、前年同月44件)、製造業(2件、同16件)が大幅減少

2.北陸は、石川(6件、前年同月2件)や新潟(3件、同0件)で小売業などが増加

■上場企業倒産

10月は、上場企業の倒産が2ヵ月ぶりに発生しなかった。

2009年1〜10月の合計は19件と高水準ながらも、前年同期の27件を大きく下回っている。 業種別では、建設・不動産関連が19件中11件を数えたものの、2008年9月のリーマン・ショック後に顕著だった両業界の苦境は、ここにきて落ち着きを見せている。

月別の発生件数を見ると、4月までは2件以上発生していたものの、その後、7月と8月は2ヵ月連続で発生せず、10月も発生していない。政府による一連の緊急支援策の効果が、中堅企業にも浸透したことで、2008年後半から続いた上場企業の倒産ラッシュはひとまず収束に向かった。

■大型倒産

10月の負債額トップは、ゴルフ場経営の苫小牧緑化開発(株)(北海道、民事再生法)で112億5600万円。負債100億円の倒産はこの1件のみとなった。以下、元・大証ヘラクレス上場でソフトウエア開発の(株)ゼンテック・テクノロジー・ジャパン(負債98億円、東京都、民事再生法)、フェリー運航の防予汽船(株)(同97億円、広島県、民事再生法)がこれに続く。

2009年の大型倒産(上位30社)を見ると、急速な景気悪化を背景として1〜3月を中心に建設、不動産業の倒産が大半を占めた。しかし7月以降、上位30社に入る大型倒産は5件にとどまっているうえ、10月も発生はなく、沈静化傾向が顕著となってきた。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは24.9、内需の息切れが鮮明となり、国内景気は踊り場局面に

2009年10月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.2ポイント増の24.9となり、8ヵ月連続で改善した。

しかし、割安感のある一部の消費財を除いて個人消費は低調で、「小売」は8ヵ月ぶりに悪化。雇用環境や所得の悪化が長期化するなかで、新型インフルエンザの流行拡大や補正予算見直しの動きなども景気の停滞観測を増幅させ、消費マインドが下押しされた。外需の復調により「製造」は8ヵ月連続で改善したものの、国内景気は内需の息切れが鮮明となっており、踊り場局面に入っている。

外需の復調と政策的な下支えにより、生産活動は緩やかな回復続く

中国などアジアを中心とする外需の復調に加え、エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策的な刺激が下支えとなって、企業の生産活動は緩やかな回復が続いた。

雇用悪化や補正予算の見直しで、企業および家計部門のマインド下押し

雇用環境や所得の悪化により個人消費が低調となり、2009年度補正予算見直しの動きなども企業の停滞観測を増幅。低価格戦略の広がりによる物価の下落基調によって、収益環境も厳しさを増しており、これらが家計部門にも悪影響を与えて消費マインドが下押しされた。新型インフルエンザの流行拡大も、外食やレジャーなどの消費機会を抑制しており、2009年3月から続いた内需の底上げに外需の復調が加わる改善の構図は弱まっている。

今後の見通し

■件数は2ヵ月連続の前年同月比減少、負債は集計基準変更後で最少

2009年10月の倒産は1070件発生し、1年4ヵ月ぶりに1000件を割った前月の946件を13.1%上回ったものの、前年同月の1231件は13.1%下回った。例年10月は1年を通じて最も倒産が多い月であり、昨年は集計基準変更後の最多件数(当時)となったが、今年は制度開始から1年が経過し、保証承諾累計が15兆円を超えた緊急保証制度や、前政権からの消費喚起策の効果もあり2ヵ月連続で前年同月を下回った。負債総額も2513億9400万円、前年同月比74.3%の大幅減少で、8月の2753億4400万円を下回り今年最少、基準変更後でも最少となった。負債100億円以上の倒産も基準変更後で最低の1件にとどまるなど、大型倒産は沈静化が続いた。

■建設業に対する政策効果、息切れの可能性も

業種別では、すべての業種で前年同月を下回ったが、前月比でみると建設業の増加ぶりが目立ち、35.9%の大幅増加となった。建設業は公共工事の前倒し発注の効果などから、9月まで3ヵ月連続で前月、前年同月をそれぞれ下回っていた。しかし、ここにきて再び300件に迫る高水準に転じており、ここ数ヵ月、同業界の倒産発生を抑制していた政策的な下支え効果が息切れしはじめた可能性もある。主因別では「不況型倒産」の構成比が82.4%で、8月に並んで集計基準変更後最高となるなど、厳しい収益環境が続いた。地域別では、関東、中部、近畿の都市圏が高水準となる一方で、他の地方圏は総じて低水準にとどまり、とくに九州は前年同月比55.1%の大幅減少となった。また、上場企業倒産は2ヵ月ぶりに発生しなかった。

■企業再生支援機構が業務開始、大型倒産の沈静化続く

こうしたなか、過剰債務企業の再建を目的に設立された企業再生支援機構が10月16日、業務を開始した。当初は、ダイエーやカネボウの再生を手がけた産業再生機構の“地方版”との位置付けであったが、地域経済を支える中堅・中小企業だけでなく、大企業まで幅広く手がけることとなった。4月以降、事業再生ADRの活用が進んでいるが、私的整理の選択肢として同機構の活用が新たに加わることで、現在の大型倒産沈静化の流れは当面続く可能性が高い。なお、過去に産業再生機構が手がけた41案件をみると、財務面の改善が進んだ一方、全体の4社に3社が事業再生計画を達成できず、本業の収益回復は道半ばという企業が目立つ。29日には経営再建中の日本航空の支援機構活用が発表されたが、同社のような大型案件の支援検討と並行しながら、新組織がどこまで中堅・中小企業の抜本的な再生に切り込めるか注目される。

■小規模企業を中心に、予断を許さない状況続く

翌30日には、借入金の返済猶予を柱とする中小企業金融円滑化法案が閣議決定された。帝国データバンクが10月末に行った企業の意識調査では、法案成立後に返済猶予の申請を検討するとしたのは全体の1割にとどまっている。年末の資金繰りが苦しい企業に一定の効果は期待される一方、逆に新規融資に影響が出る可能性もあり施行後の動向から目が離せない。11月2日には事業者金融大手のロプロが会社更生法を申請した。2009年2月のSFCG(民事再生法→破産)、9月のアイフル(事業再生ADR)と貸金業界の経営難が相次いで表面化しており、2010年6月の改正貸金業法の完全施行をにらみ、さらなる業界環境の悪化が懸念される。今後は15兆円弱の保証枠が残る緊急保証や、返済猶予の活用で年内はこのまま倒産が抑制される可能性もあるが、10月の件数が4ヵ月ぶりに前月比増加に転じたことは、倒産発生を抑えていた政策効果の息切れの兆しと見ることもできる。1.雇用環境や所得の悪化、2.補正予算見直し、3.新型インフルエンザなど、内需停滞を通じて倒産増加につながる懸念材料は山積しており、需要減と単価下落に苦しむ小規模企業を中心に予断を許さない状況が続く。

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