倒産集計

2009年7月報

倒産件数は1204件、14ヵ月連続の前年同月比増加
負債総額は3405億1600万円、2ヵ月連続で今年最低を記録

倒産件数 1204件 負債総額 3405億1600万円
前月比 7.0%減 前月比 28.2%減
前月 1294件 前月 4744億7200万円
前年同月比 6.5%増 前年同月比 46.8%減
前年同月 1131件 前年同月 6402億3200万円

■件数

ポイント 14ヵ月連続で前年同月比増加

倒産件数は1204件(前月1294件、前年同月1131件)発生し、前月比は7.0%の減少となったものの、前年同月比は6.5%の増加となった。14ヵ月連続で前年同月を上回り、2ヵ月連続で1200件を超える高水準を記録した。

要因・背景

1.負債5000万円未満の小規模倒産が553件発生、前年同月比15.0%の増加

2.大手メーカーの生産調整の余波広がり、製造業が11ヵ月連続の前年同月比増加

3.「緊急保証制度」などの中小企業支援策の効果は限定的なものにとどまる

■負債総額

ポイント 2ヵ月連続で今年最低を記録

負債総額は3405億1600万円(前月4744億7200万円、前年同月6402億3200万円)で、前月比は28.2%、前年同月比も46.8%の大幅減少となり、2ヵ月連続で今年最低を記録。倒産1件あたりの平均負債額も2億8300万円と、2007年7月の3億3500万円を下回り、集計基準変更の2005年4月以降で初の2億円台にとどまるなど、負債総額は縮小傾向が続いた。

要因・背景

1.中堅・大企業対策の効果で大型倒産は一服、負債100億円以上の倒産は4件にとどまる

2.負債額トップは、ゴルフ場経営、ビル賃貸管理の弘済事業(株)(茨城県)の225億円

■業種別

ポイント 製造、運輸・通信、サービス業の3業種が増加

業種別に見ると、7業種中、製造業(183件、前年同月比+28.9%)、運輸・通信業(47件、同+34.3%)、サービス業(227件、同+18.2%)の3業種で前年同月比増加となった。一方、建設業(320件、同▲1.2%)、卸売業(182件、同▲0.5%)、不動産業(31件、同▲27.9%)の3業種は前年同月を下回った。

要因・背景

1.製造業…一般・電気・輸送用など、機械器具製造の倒産増加が顕著

2.サービス業…システム開発や広告関連の倒産目立つ

3.不動産業…マンション分譲の倒産が3件にとどまり、大型倒産はほぼ一巡

■主因別

ポイント 「不況型倒産」の構成比80.6%、2ヵ月連続の80%台

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は970件(前月1051件、前年同月889件)となった。構成比は80.6%(前月81.2%、前年同月78.6%)で、前月比は0.6ポイント下回ったものの、前年同月比では2.0ポイント上回り、2ヵ月連続で80%台の高水準となった。

要因・背景

1.販売不振が893件と依然として高水準、前年同月比10.7%の増加

2.受注急減の余波続き、「減産関連倒産」が24件発生、2008年12月からの累計は153件

3.製造業の「不況型倒産」構成比は81.4%に達し、前年比2.5ポイントの増加


倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

ポイント 負債100億円以上の大型倒産は4件、1年1ヵ月ぶりの低水準

負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産が553件、構成比は45.9%を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産は4件にとどまり、2008年6月(4件)以来1年1ヵ月ぶりの低水準となった。資本金別でも、個人経営と資本金1000万円未満の小規模企業が593件、構成比は49.3%を占めた。従業員数別で見ても、10人未満が973件、構成比80.8%を占めるなど小規模倒産が目立ち、従業員数合計は8400人と、2008年6月(8278人)以来1年1ヵ月ぶりに9000人を下回った。

要因・背景

1.危機対応融資や私的整理スキームなど、中堅・大企業向け支援策の効果が浸透

2.「緊急保証制度」の効果は限定的、小規模企業を取り巻く収益環境は依然厳しく

■地域別

ポイント 関東、四国の2地域で、集計基準変更後で最多

地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を上回り、関東(499件、前年同月比+33.1%)、四国(40件、同+33.3%)の2地域は、前年同月比30%を上回る大幅増加となり、集計基準変更後で最多を記録。また、中部(131件、同+28.4%)も大幅増加となった。一方、東北(62件、同▲13.9%)、近畿(272件、同▲10.8%)など4地域では、前年同月比減少。特に、北海道(28件、同▲51.7%)は前年同月比50%を上回る大幅減少となった。

要因・背景

1.関東は、製造業(82件、前年同月比+60.8%)、小売業(72件、同+50.0%)で大幅増加

2.四国は、香川県(11件)で建設業(5件)や製造業(2件)の増加が目立つ

■上場企業倒産

7月は、2008年1月以来1年6ヵ月ぶりに上場企業の倒産が発生しなかった。

しかし、2009年1〜7月の合計はすでに18件に達しており、前年同期の10件を大幅に上回っている。 業種別では、建設・不動産関連が18件中11件を数えるものの、2008年9月のリーマン・ショック後に顕著だった両業界の苦境は4月以降、徐々に落ち着きを見せている。

月別の発生件数を見ると、2008年9月の7件、10月の8件をピークに、その後は2009年3月の3件、4月の2件、5月と6月の1件と次第に減少し、7月は発生しなかった。政府による一連の緊急支援策の効果が、中堅企業にも徐々に行き届きはじめたこともあり、2008年後半から続いた上場企業の倒産ラッシュは収束しつつある。

■大型倒産

7月の負債額トップは、ゴルフ場経営、ビル賃貸管理の弘済事業(株)(茨城県、民事再生法)で225億円。負債1000億円以上の大型倒産は2ヵ月連続で発生せず、負債100億円以上も4件と2008年6月以来13ヵ月ぶりの低水準にとどまるなど、大型倒産は沈静化しつつある。

7月の負債額上位を見ると、倒産後に多額の粉飾決算が明らかとなった、各種生産用ロボット賃貸の(株)生産技術(負債146億7400万円、富山県、民事再生法)のほか、2度目となる民事再生法申請直後に、同申請を取り下げ破産に切り替えた造船業の(株)讃岐造船鉄工所(同90億円、香川県)など、製造、運輸、サービスなどの業種で大型倒産が目立った。

2009年の大型倒産(上位20社)を見ると、急速な景気悪化を背景として1〜3月を中心に建設、不動産業の倒産が大半を占めた。しかし4月以降は、上位20社に入る大型倒産は2件にとどまっており、この点でも沈静化傾向が見て取れる。

■景気動向指数 (景気DI)

2009年7月の景気DIは5ヵ月連続改善、国内景気の緩やかな回復続く

2009年7月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.8ポイント増の23.1となり、5ヵ月連続で改善した。

業界別では「小売」や「サービス」など内需関連業界で改善が進んだほか、「製造」も内需関連業界の底上げや中国など外需の復調によって5ヵ月連続で改善した。地域別でも、内需が堅調な地方圏を中心に改善が続いた。依然として低水準ながらも国内景気は最悪期を脱し、緩やかな回復を続けている。

外需が復調し、企業の生産活動に持ち直しの動き広がる

中国などアジア向けを中心に外需は復調しつつあり、生産や出荷、設備稼働率も改善を続けるなど、企業の生産活動には持ち直しの動きが広がった。これらが業績の回復期待にもつながり、7月中旬に9050円33銭まで下げた日経平均株価は再び1万円台を回復し、年初来高値を更新した。

政策的な消費喚起や低価格戦略が、「小売」「サービス」「製造」などを底上げ

エコポイント制度やエコカー減税などの政策的な後押しが消費を喚起したほか、食料品や日用品を中心にナショナルブランドの値下げやプライベートブランドの開発・投入など低価格戦略が需要を取り込み、「小売」などが改善した。しかし、販売価格の下押し圧力が強いことで企業の収益環境は厳しさが続いており、一段の業況回復には至らなかった。

今後の見通し

■件数は14ヵ月連続で前年同月を上回るも、負債総額は今年最低

2009年7月の倒産は1204件発生し、集計基準変更の2005年4月以降で最多となった前月の1294件を90件下回ったものの、前年同月の1131件を73件上回り、14ヵ月連続の前年同月比増加となった。一方、負債総額は3405億1600万円で、2008年1月以来1年6ヵ月ぶりに3000億円台となり、2ヵ月連続で今年最低を記録。上場企業の倒産も1年6ヵ月ぶりに発生せず、負債100億円以上の倒産も、2008年6月以来1年1ヵ月ぶりに4件にとどまるなど、負債総額は低水準が続いた。こうした「倒産件数増、負債総額減」の現象は、政府の中堅・大企業対策が機能し大型倒産は一服する一方で、「緊急保証制度」をはじめとする中小企業対策によっても、小規模企業の倒産多発には歯止めがかかっていない現状をはっきりと映し出している。

■小売、サービス業が高水準続く

業種別では、製造、サービス業で増加が目立ち、消費低迷の影響が大きい小売、サービス業の高水準が続いた。一方、大型倒産がほぼ一巡した不動産業は大きく減少した。企業倒産の中心は昨年後半からの不動産業、年初からの製造業を経て、ここにきて小売、卸売などの流通業にシフトしはじめている。主因別では、販売不振や業界不振などを主な原因とする「不況型倒産」の構成比が80.6%と、2ヵ月連続で80%台となるなど、企業の収益環境は厳しさが続いている。地域別では、関東と四国の2地域が集計基準変更後で最多となった。特に関東は499件と、製造、小売業を中心に多発し、東京、千葉、神奈川の南関東で増加が際立った。

■雇用・所得の悪化続き、景気の先行きは依然不透明

政府は7月の月例経済報告で、景気の基調判断を「このところ持ち直しの動きがみられる」として3ヵ月連続で上方修正した。しかし、景気の先行きは依然として不透明感が強い。企業の生産活動は緩やかに改善しているが、1.雇用情勢の急速な悪化、2.デフレ進行、3.海外の景気下振れなどのリスクが払拭されたわけではないからである。とりわけ、6月の完全失業率(季節調整値)は5.4%と2003年6月以来6年ぶりの高水準になり、同月の現金給与総額(事業所規模5人以上)も前年比7.1%減と過去最大の下落率になるなど、雇用不安や給与の減少が購買意欲の減退を通じて企業収益を圧迫している。ここにきて小売、卸売、サービス業など、個人消費に左右される業界で倒産が高止まりしているのはこのためだ。

■中小企業の倒産多発リスク高まる

大型倒産はしばらく沈静化が続く見通しである一方、倒産の大部分を占める小規模倒産は、今後さらに勢いを増しかねない。「緊急保証制度」の利用は4月以降伸び悩むなか、ここにきて融資の減額や、増額申請の審査が通りづらいといった指摘も出てきた。年末や年度末の資金繰りを乗り切った多くの企業も、本業回復のメドすら立たないまま、借入金の元本返済がはじまる11月以降、資金繰りに行き詰まるケースが続発するおそれがあるからだ。中小企業支援策の効果も限定的であり、元本返済開始と資金需要が高まる時期とが重なる年末にかけて、中小企業の倒産多発リスクはさらに高まる。このほか直近の倒産動向に影響を与える懸念材料としては、1.天候不順にともなう農産物の高騰、衣料販売の伸び悩みの影響、2.原油・素材価格の上昇による製造、運輸業者への影響、3.需要低迷や減産による製造業者への影響などがあげられる。また、8月30日の衆院総選挙の結果次第では、建設、運輸など特定の業界に影響を与える法改正や税制改正を通じて淘汰される業者が相次ぐおそれもあり注目される。足元では倒産が減少に転じる材料にも乏しく、今後も小規模企業を中心に倒産増加が続くとみられる。

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