2008年報 2008年(平成20年) 1月1日〜12月31日 |
倒産件数は1万2681件、2年連続の前年比増加 負債総額は11兆9113億200万円、戦後7番目の水準 |
|---|
| 倒産件数 | 1万2681件 | 負債総額 | 11兆9113億200万円 |
|---|---|---|---|
| 前年比 | 15.7%増 | 前年比 | 116.9%増 |
| 2007年 | 1万959件 | 2007年 | 5兆4917億2800万円 |
件数推移グラフ
負債総額推移グラフ
■件数
ポイント 1万2000件を突破、前年比15.7%の増加
2008年の倒産件数は1万2681件となり、前年の1万959件を15.7%(1722件)上回った。月別推移をみても、5月を除くすべての月で前年同月比増加。10月は1231件発生し、集計基準変更の2005年4月以降で最多となり、年末にかけても倒産増加が続いた。
要因・背景 急速な景気後退を受け、「不況型倒産」が増加
1.急速な景気後退を受け、中小・零細業者を中心に「不況型倒産」が増加
2.構造不況に加え、不動産市況悪化の影響もあり、建設業の倒産が前年比17.3%の増加
3.原料高関連の倒産が658件に急増。前年の229件に比べ、187.3%の大幅増加
■負債総額
ポイント 2年連続の前年比増加、戦後7番目の水準
2008年の負債総額は11兆9113億200万円となり、前年の5兆4917億2800万円と比べ、116.9%の大幅増加。参考値ながら、99年の13兆5522億1200万円に次ぐ戦後7番目の水準となった。また、負債100億円以上の倒産が107件(前年68件)に急増した。
要因・背景 未曾有の大型倒産ラッシュが影響
1.リーマン・ブラザーズ証券(株)(9月、東京都)が戦後2番目の負債3兆4314億円で倒産
2.大和生命保険(株)(10月、東京都)が倒産、生命保険会社の倒産は7年7ヵ月ぶり
3.マンション販売不振、金融危機の深刻化からデベロッパー、ゼネコンの大型倒産相次ぐ
■業種別
ポイント すべての業種で前年比増加
業種別にみると、7業種すべてで前年比増加となった。運輸・通信業(500件)が前年比37.0%の大幅増加となったほか、建設業(3446件、前年比+17.3%)、卸売業(1950件、同+18.6%)で増加が目立った。
要因・背景 金融危機、景気後退を受け、幅広い業種で倒産増加
1.運輸・通信業…うち488件が運輸業、燃料価格の高騰が追い打ち
2.建設業…公共工事の減少に加え、不動産業の大型倒産続発も影響
3.卸売業…急速な景気後退を受け、中小業者の収益悪化
■主因別
ポイント 「不況型倒産」が大幅増加
主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は9992件(前年8445件)で、前年を18.3%上回った。構成比は78.8%(同77.1%)で、1.7ポイント増加した。
要因・背景 景気後退から収益環境、資金調達環境ともに悪化
1.景気後退により内需が低迷、外需減速も加わり、企業の収益環境悪化
2.10月末に「緊急保証制度」がスタートするも、12月末時点で目立った効果は表れず
■規模別
ポイント 大型倒産の増加目立つ
負債額別にみると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は7480件で、前年の6559件を14.0%(921件)上回り、構成比は59.0%。一方、負債100億円以上の倒産が107件発生し、前年比57.4%(39件)の大幅増加となった。資本金別でも、資本金1億円以上の倒産が374件発生し、前年比44.4%の増加。近年の大型倒産の減少傾向から一転、2008年は急増した。
要因・背景 金融危機を受け、不動産業の大型倒産が急増
1.金融危機の影響から資金調達環境が急速に悪化し、不動産業の大型倒産が続発
2.景気後退による内需低迷、原料高が中小・零細企業の経営を圧迫
■地域別
ポイント 9地域すべてで前年比増加
地域別にみると、9地域すべてで前年を上回った。このうち、北海道(466件、前年比+30.9%)、北陸(462件、同+24.2%)、中国(638件、同+32.6%)、九州(1044件、同+22.7%)の4地域では前年比20%を超える大幅増加となった。
要因・背景 地方圏では内需関連業種、都市圏では不動産業の倒産目立つ
1.地方圏では、建設業に加え、実体経済の悪化が内需関連業種に影響
2.都市圏では、市況の急激な悪化から、マンションデベロッパーの倒産が続発
■態様別
ポイント 会社更生法、民事再生法が大幅増加
態様別にみると、破産は1万1420件(前年9912件)で前年比15.2%(1508件)の増加となり、全体の倒産件数を大きく押し上げた。会社更生法は29件(同9件)に急増、民事再生法も884件(同670件)と、前年比31.9%の大幅増加となった。
要因・背景
1.破産は、景気後退による経営環境の悪化、少額管財手続きの浸透もあり、申請件数が増加
2.会社更生法は、建設業者やゴルフ場経営業者などの申請目立つ
3.民事再生法は、“早期申請、早期再生”の考え方が浸透し、申請件数が増加
■業歴別
ポイント 業歴30年以上の「老舗倒産」の構成比が30%を上回る
業歴別にみると、業歴10年未満の倒産は2885件(前年2290件)発生し、前年比26.0%の大幅増加。一方、業歴30年以上の「老舗倒産」は3852件(同3267件)発生し、構成比は30.4%(同29.8%)となり、集計基準変更後で初の30%台となった。
要因・背景
1.資金調達環境の急激な悪化から、資金調達に苦しむ業歴の浅い企業が増加
2.過剰債務と本業不振で行き詰まる「老舗倒産」が増加
■上場企業倒産
2008年の上場企業倒産は、7月以降に急増し、上場廃止1件を含め34件発生。2002年の29件を上回り、6年ぶりに戦後最悪を更新した。このうち、建設・不動産関連が25件に達し全体の約7割を占めた。金融危機の影響から不動産市場の急減速と信用収縮が深刻化し、新興デベロッパーや地場ゼネコンを中心に大型倒産が相次いだ。
■大型倒産
2008年の大型倒産で負債額トップは、米リーマン・ブラザーズの日本法人、リーマン・ブラザーズ証券(株)(負債3兆4314億円、東京都、民事再生法、9月)で、戦後2番目の大型倒産となった。なお、リーマン・ブラザーズ関連の倒産が負債上位4位までを占めた。
負債上位の業種を見ると、(株)アーバンコーポレイション(負債2558億3200万円、広島県、民事再生法、8月)や、(株)モリモト(同1615億2000万円、東京都、民事再生法、11月)、りんかい日産建設(株)(同629億8300万円、東京都、会社更生法、8月)など、不動産市況の悪化を受け、建設、不動産業が目立つ。また、中堅生保の大和生命保険(株)(同2695億円、東京都、更生特例法、10月)は、金融市場の混乱が経営を直撃し、7年7ヵ月ぶりとなる生命保険会社の倒産となった。
■注目の倒産動向
マンション分譲業者 53件発生、金融危機拡大の影響受け、6月以降急増
2008年のマンション分譲業者の倒産は53件(前年13件)で、前年比307.7%(40件)の大幅増加。2007年8月の米サブプライム問題発生後、業界環境が急速に悪化し、それまで皆無に近かったマンション分譲業者の倒産が続発した。とくに2008年6月以降は、深刻な金融危機の影響を受け、倒産件数が急増している。
改正建築基準法関連 207件発生、累計は221件に達する
2008年の改正建築基準法関連の倒産は207件(前年14件)発生。2007年10月の集計開始からの累計は221件に達した。2007年6月の法改正直後の混乱はすでに収束しているが、2008年以降の業界環境の急速な悪化と重なり、直接、間接を含め、法改正による影響がここにきて表面化するケースが続いている。
原料高関連 658件に急増、前年比187.3%の大幅増加
2008年の原料高関連の倒産は658件(前年229件)に急増し、前年比187.3%(429件)の大幅増加。2007年後半から2008年前半にかけて、原油や金属などの価格が急騰した影響が大きく、製造業を中心に幅広い産業で関連倒産が増加した。2008年後半以降は一転して価格が急落したものの、需要減退を受け、中小・零細企業は依然として深刻な収益悪化に苦しんでいる。
運輸業者 488件発生、前年比35.9%大幅増加
2008年の運輸業者の倒産は488件(前年359件)で、前年比35.9%(129件)の大幅増加となった。燃料価格は年後半にかけて下落基調に転じたものの、収益改善にまでは至っていない。景気後退で需要が減退するなか、構造的に過当競争に陥っており、荷主との価格交渉力に劣る零細企業はとくに苦しい経営を強いられている。
今後の見通し
■2008年12月の景気DIは20.4、悪化幅4.1ポイントは過去最大
2008年12月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比4.1ポイント減の20.4となり10ヵ月連続で悪化した。調査開始の2002年5月以来、最大の悪化幅を記録し、前月の24.5に続いて過去最低を更新した。
業界別では、外需の減速や内需の停滞によって「製造」や「建設」「不動産」が初めて20ポイントを下回る低水準に悪化し、地域別でも自動車不況が深刻な「東海」の悪化が顕著となった。業界別、地域別ともに悪化に歯止めはかからず、国内景気は後退が続いており、不況感が強まっている。
■欧米の景気後退で外需が減速、企業収益が悪化し生産調整も加速
欧米が景気後退に陥り、中国などの新興国でも景気の下振れが鮮明となるなか、外需が一段と減速し円高の定着なども影響して企業の収益環境が悪化した。急速な経営環境の悪化を受け、2008年度の通期見通しの下方修正も相次いでおり、自動車や電機、鉄鋼、化学などで生産調整が加速し、設備投資計画の凍結・延期が広がった。
■雇用情勢が悪化し所得不安も増大、消費者心理が一段と低下し内需が低迷
製造業の生産調整加速の影響などによって、雇用情勢が急速に悪化した。年末商戦を迎えたが、所得不安も増大するなかで消費者心理は一段と低下し、「小売」や「サービス」など内需の低迷に拍車をかけた。
■倒産1万2681件で2年連続の前年比増加、負債は戦後7番目の水準に急増
2008年の倒産は1万2681件発生し、前年の1万959件を1722件上回り、2年連続で前年を上回った。サブプライム問題の影響が本格化した年後半、倒産は増加基調を強め、10月は1231件発生し、2005年4月の集計基準変更後の最多を記録。10月末の「緊急保証制度」開始後も、11月の1010件、12月の1147件と前年同月を上回り、倒産増加が続いた。負債総額も、9月にリーマン・ブラザーズ証券(株)が戦後2番目の負債3兆4314億円で倒産し、11兆9113億200万円に急増。参考値ながら、99年の13兆5522億1200万円に次ぐ戦後7番目の水準となった。
■上場企業倒産は34件で戦後最悪、外部環境の急変が大きく影響
2008年最大の特徴は、上場企業の“倒産ラッシュ”に尽きる。1年間で上場廃止の1件を含め34件発生し、2002年の29件を上回り、戦後最悪となった。不動産流動化やマンション分譲を手がける新興業者が、外部環境の急激な変化で直近の好業績から一転、黒字倒産するケースが続いた。34件中、建設・不動産関連が25件を数え、全体の7割を占めた。
業種別では、建設、不動産、小売、サービスなどの内需関連業種の増加が顕著であった。原料高の影響を受けた運送業者の倒産が目立ったほか、2008年の製造業最大の倒産となった辻産業(株)が12月に会社更生法を申請するなど、年後半には製造業も増加基調を強めた。主因別では「不況型倒産」の構成比が78.8%に達し、年を追うごとに不況型の比率が高まっている。
■今後は、自動車不況による影響拡大を懸念
今後は、引き続き建設・不動産業で大型倒産が懸念されるうえ、巨額粉飾や不祥事発覚後の短期間での倒産、再建途上の企業が経営難に陥った末の倒産などが相次ぐとみられる。12月のダイア建設(株)の倒産は、産業再生機構の支援企業では、2007年7月の(株)アメックス協販に続き2社目となった。また、大企業の業績悪化が顕著となるなか、次の3月決算では金融機関をはじめ一般の事業会社でも、繰延税金資産の回収可能性が問題視される企業が出てくるだろう。
世界的な金融危機と需要低迷、円高の進行は、9月のリーマン・ショックを境に、一段と深刻度を増した。国内景気をけん引してきた自動車業界の不振は、すそ野の広い業界だけに影響が特に大きい。年末の相次ぐ業績下方修正や非正社員の大量解雇の発表は、消費者心理の低下に拍車をかけ、雇用情勢のさらなる悪化とともに取引先や下請業者への影響も懸念される。生産、消費、雇用のすべてにおいて悲観的な見方が広がるなか、実体経済の悪化はこれから本番を迎える。大企業に比べて経営体力に劣る中小企業にとっては、一層厳しい収益環境となる。
■「緊急保証制度」の倒産抑制効果は2009年1月以降か
経済産業省によると、制度開始から2ヵ月経過した「緊急保証制度」の1月8日時点の承諾件数は17万8674件、金額は4兆1039億円に達した。98年10月の「特別保証制度」と同様に、開始から1ヵ月後の倒産急減も予想されたが、12月末時点で目立った抑制効果は表れていない。これは、創設直後の3ヵ月に保証承諾が集中した前回に比べ、今回は開始後1ヵ月目となる2008年11月28日時点の承諾件数が3万3098件、金額が8169億円と、保証協会の厳格な対応なども影響し98年10月の実績(約9万7000件、約2兆6000億円)の半分以下にとどまり、即効性に乏しかったためとみられる。しかし、12月に入って申し込みが急増し、すでに98年10月の件数、金額はともに大きく上回っていることから、前回よりもやや遅れて制度の効果が浸透し、倒産増加は一息つく可能性もある。もっとも、後退色を深める国内景気の現状からは98年と同様にその効果は一時的なものにとどまる可能性が高く、年後半には中小企業を中心に、倒産が急増するおそれもある。
数値について
2005年の数値は法的整理のものですが、2005年4月以降は“月をまたいで任意整理から法的整理へ移行した企業”を含みますが、3月以前は含んでいません。2005年の年間合計は両者を便宜上合算した数値であるため、過去との単純比較はできません。

