倒産集計

2008年度上半期報

2008年(平成20年) 4月〜9月

倒産件数は6343件、3年連続の前年同期比増加
負債総額は8兆4533億1800万円、上半期としては戦後2番目
年度半期別 件数推移表
年度半期別 負債総額推移表
倒産件数 6343件 負債総額 8兆4533億1800万円
前 期 比 件数 8.8%増 前期 5830件
負債 218.6%増 前期 2兆6528億5700万円
前年同期比 件数 15.3%増 前年同期 5503件
負債 193.6%増 前年同期 2兆8794億2900万円

■件数

ポイント 前年同期比15.3%の増加、3年連続の前年同期比増加

2008年度上半期の倒産件数は6343件となり、前年同期(5503件)を15.3%(840件)上回った。3年連続の前年同期比増加で、件数は増加基調を強めており、2008年度上半期は6000件を超える高水準となった。

要因・背景 構造不況が続く建設業に加え、原料高関連の倒産が急増

1 景気減速を背景に、中小・零細業者を中心とした「不況型倒産」が増加

2 公共工事削減、鋼材価格の高騰などに苦しむ建設業の倒産が高水準で推移

3 原料高関連の倒産が341件に急増。前年同期(122件)比179.5%の大幅増加

■負債総額

ポイント 戦後2番目の高水準

2008年度上半期の負債総額は8兆4533億1800万円(前年同期2兆8794億2900万円)で前年同期比193.6%の大幅増加。2005年4月に集計基準を変更しており単純比較はできないが、上半期としては、2000年度(10兆9137億5900万円)に次ぐ戦後2番目の高水準。負債50億円以上の倒産も、115件(前年同期69件)発生し、前年同期比66.7%の大幅増加となった。

要因・背景 不動産、建設業で大型倒産が相次いで発生

1 リーマン・ブラザーズ証券(株)(東京都)が、戦後2番目の負債3兆4314億円で倒産

2 マンション販売の不振から、新興デベロッパーやゼネコンが相次いで倒産

■業種別

ポイント すべての業種で前年同期比増加

業種別に見ると、7業種すべてで前年同期比増加となった。運輸・通信業(255件)が前年同期比34.9%の大幅増加となったほか、不動産業(224件、前年同期比+25.8%)、建設業(1764件、同+21.2%)でも増加が目立った。

要因・背景 原料高の影響を受け、内需関連の幅広い業種で倒産増加

1 建設業・・・公共工事の減少に加え、建材価格の高騰やマンション不況が追い打ち

2 運輸・通信業・・・うち245件が運輸業、燃料価格の高騰による収益悪化を反映

3 不動産業・・・マンション販売の不振、金融環境の悪化で新興デベロッパーの倒産続発

■主因別

ポイント 「不況型倒産」の構成比が8割に迫る

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は5026件で前年同期を18.8%上回った。構成比は79.2%に上昇し、2006年度上半期(74.4%)以降、半期ベースで一貫して高まっている。

要因・背景 景気後退、原料高が深刻化

1 景気後退を背景に、売り上げ不振から資金調達難に陥る企業が増加

2 販売価格に転嫁できない中小・零細企業を中心に、原料高の影響が深刻化

■規模別

ポイント 中堅クラスの倒産増加が目立つ

負債額別に見ると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は3697件で、前年同期を14.2%(459件)上回り、構成比は58.3%。一方、負債50億円以上の倒産は115件発生、前年同期比66.7%(46件)の大幅増加となった。資本金別でも、資本金1億円以上(208件)の倒産が前年同期比56.4%の大幅増加となり、中堅クラスの倒産も相次いだ。

要因・背景 不動産業の大型倒産が急増

1 外資系金融機関の日本での不動産融資縮小などを受け、不動産業の大型倒産が急増

2 景気後退、原料高による収益環境の悪化で、中小・零細企業の倒産が増加

■地域別

ポイント 9地域すべてで前年同期比増加

地域別に見ると、9地域すべてで前年同期を上回った。このうち中国(341件、前年同期比+58.6%)と北海道(274件、同+51.4%)では前年同期比50%を超える大幅増加となった。北陸(219件、同+26.6%)、九州(517件、同+22.5%)でも増加が目立つ。

要因・背景 地方圏は建設業、関東では不動産業の倒産が目立つ

1 地方圏では、公共工事削減の影響が大きく、建設業の倒産が高水準

2 関東では、マンション販売の不振から新興デベロッパーの倒産が散発

■態様別

ポイント 民事再生法が大幅増加

態様別に見ると、破産は5708件(前年同期5012件)で前年同期比13.9%(696件)の増加となり、全体の倒産件数を大きく押し上げた。会社更生法は15件(前年同期5件)に急増、民事再生法も441件(同310件)で前年同期比42.3%の大幅増加となった。

要因・背景

1 破産は、少額管財手続きの浸透により申し立て件数が増加

2 会社更生法は、権利関係の複雑な案件処理、経営責任明確化への要請から全国的に増加

3 民事再生法は、事業再生の早期化が定着し、企業規模を問わず申請件数が増加

■業歴別

ポイント  業歴30年以上の「老舗倒産」の構成比が30%を上回る

業歴別に見ると、業歴10年未満の倒産は1436件(前年同期1163件)発生し、前年同期比23.5%の大幅増加となった。一方、業歴30年以上の「老舗倒産」は1958件発生し、構成比は30.9%(同30.2%)となった。

要因・背景

1 創業時の借入金がかさみ、資金繰りに苦しむ業歴の浅い企業が増加

2 過剰債務や本業不振、原料高への対応の遅れにより「老舗倒産」が増加

■上場企業倒産

2008年度上半期は、上場廃止の1件を含め18件発生し、上半期としては2002年度の13件を上回り、戦後最多となった。このうち、建設、不動産関連が11件を占めた。

個別事例を見ると、(株)アーバンコーポレイション(負債2558億3200万円、広島県、民事再生法、8月)やランドコム(株)(同309億8900万円、神奈川県、民事再生法、9月)など、直近決算まで業績を伸張させながらも、金融機関の支援を得られずに、短期間で倒産するケースが目立つ。

近年の上場企業倒産は、2002年度(22件)をピークに2007年度(3件)まで減少を続けてきたものの、2008年度は過去最多を上回る可能性が高まってきた。

■大型倒産

2008年度上半期の大型倒産で負債額トップは、米リーマン・ブラザーズの日本法人、リーマン・ブラザーズ証券(株)(負債3兆4314億円、東京都、民事再生法、9月)で、戦後2番目の大型倒産となった。なお、リーマン・ブラザーズ関連の倒産が負債上位4位までを占めた。

負債上位の業種を見ると、建設、不動産業が目立つ。(株)アーバンコーポレイション(負債2558億3200万円、広島県、民事再生法、8月)や、(株)ゼファー(同949億4800万円、東京都、民事再生法、7月)など、不動産業界の信用収縮を受け資金繰りに窮する新興デベロッパーの大型倒産が急増。また、業界不振や取引先への大口焦げ付き発生などにより、りんかい日産建設(株)(同629億8300万円、東京都、会社更生法、8月)や、真柄建設(株)(同348億円、石川県、民事再生法、7月)など、地場大手ゼネコンの倒産も散発した。

■注目の倒産動向

マンション分譲業者 上半期だけで30件発生、2007年10月以降、急増

2008年度上半期のマンション分譲業者の倒産は30件(前年同期6件)発生し、前年同期比400.0%(24件)の大幅増加となり、2007年10月以降、急増した。2007年8月の米サブプライムローン問題発生後に業界環境が急速に悪化した影響で、近年は数件の発生にとどまっていたマンション分譲業者の倒産が、中堅以下の新興の不動産業者を中心に相次いだ。

原料高関連 341件に急増、すでに2007年度の合計(299件)を上回る

2008年度上半期の原料高関連の倒産は341件(前年同期122件)に急増し、前年同期比179.5%(219件)の大幅増加で、すでに2007年度の合計(299件)を上回る急増ぶり。原油、金属、穀物ともに、足元では年初からの全面高の様相から一転して軟調に推移しているが、幅広い産業で依然として原料高による収益悪化の影響は大きく、関連倒産は増加の一途をたどった。

改正建築基準法関連 111件に急増、累計は163件に達する

2008年度上半期の改正建築基準法関連の倒産は111件(前期52件)となり、前期比113.5%(59件)の大幅増加。2007年10月の集計開始から1年間の累計は163件に達した。2007年6月の法改正直後の混乱はすでに収束しているが、2008年以降の業界環境の急速な悪化と重なり、直接、間接を含め、法改正による影響がここにきて表面化するケースが続いた。

運輸業者 半期ベースで4期連続して前期を上回る増加ぶり

2008年度上半期の運輸業者の倒産は245件(前年同期187件)となり、前年同期比31.0%(58件)の増加。半期ベースでみても、2006年度下半期(159件)以降、4期連続して前期を上回っており、増加基調が鮮明となった。足元では燃料価格の高騰に歯止めがかかったものの、価格上昇局面での負担増に耐え切れず、破産に追い込まれる企業が増加した。


今後の見通し

■2008年9月の景気DIは29.3、7ヵ月連続で悪化し5年4ヵ月ぶりに30割れ

2008年9月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目、2002年5月より調査開始)は、前月比1.0ポイント減の29.3となり7ヵ月連続で悪化した。2003年5月(28.5)以来、5年4ヵ月ぶりに30ポイントを下回る低水準となった。

■米国発の金融危機が増幅、外需の減速や信用収縮が一段と加速

サブプライム問題の拡大によって、9月16日、米リーマン・ブラザーズが破綻し、AIGの実質国有化やワシントン・ミューチュアルの破綻など米国発の金融危機が増幅。外需の減速や金融市場の混乱による信用収縮が加速して、国内の景気回復をけん引してきた「製造」が5年4ヵ月ぶりの水準に悪化し、「不動産」も前月に引き続き過去最低を更新した。
また、都市圏の悪化に歯止めがかからず、「南関東」「東海」ともに5年4ヵ月ぶりの水準となった。とくに、「東海」は自動車関連の低迷によって悪化幅が全国10地域中最大となり、調査開始以来、はじめて上位3位圏外の5位に落ちるなど景気のけん引役から脱落した。

■生活不安の増大で消費者心理が悪化、企業の収益性が一層低下

NY原油先物相場(WTI)は、1バレル=100ドルを挟む水準でやや落ち着いたが、生活必需品を中心に値上げが続いた。未解決の医療・年金問題や福田政権の崩壊による政局の混迷、雇用環境の悪化などにより生活不安が増大。仕入れ価格の上昇が続く一方、消費者心理の悪化により川下からの価格下押し圧力が一段と強まり、企業の収益性は一層低下した。

■負債総額、上半期としては戦後2番目の高水準

2008年度上半期の倒産は6343件発生し、前年同期の5503件を840件上回り、3年連続の前年同期比増加となった。景気後退、原料高の影響から、倒産は月を追うごとに増加基調を強めている。負債総額も、今後の国際金融史に残る月となった9月にリーマン・ブラザーズ証券(株)(東京都)が戦後2番目の負債3兆4314億円を抱えて倒産した影響が大きく、8兆4533億1800万円に急増。不動産、建設業界で相次いだ大型倒産も負債額を押し上げる要因となり、上半期としては、2000年度(10兆9137億5900万円)に次ぐ戦後2番目の高水準となった。

■上場企業倒産は18件、上半期としては戦後最多

上半期最大の特徴は、上場企業の“倒産ラッシュ”に尽きる。期中、新興デベロッパーやゼネコンを中心に、上場廃止の1件を含め18件発生し、うち不動産、建設関連が11件を占めた。この結果、上半期としては2002年度の13件を上回り、戦後最多となった。2002年度はメガバンクの不良債権処理がピークを迎えていた時期にあたり、当時を上回る件数が発生したことは、不動産、建設業界が直面する事態の深刻さを物語る。とくに9月は単月で過去最多となる7件に達し、月末にかけて4営業日連続で発生するなど、懸念された“9月危機”が現実のものとなった。10月2日にはマンション分譲の(株)エルクリエイト(神奈川県)の倒産が判明し、2008年の年間合計は21件となっており、過去最多の2002年(29件)を上回る可能性が高い。

■建設、不動産業の倒産多発

業種別では、やはり建設、不動産業の倒産増加が目立った。米サブプライムローン問題にともなう国内不動産市場の急減速と信用収縮が深刻化し、(株)アーバンコーポレイション(広島県)や(株)ゼファー(東京都)など、新興デベロッパーが相次いで倒産。これら新興の不動産会社に対する大口焦げ付きから、りんかい日産建設(株)(東京都)や真柄建設(株)(石川県)など、各地のゼネコンが連鎖的に資金繰りに行き詰まるケースが続いた。昨今の倒産増で不良債権が増加している銀行が、建設、不動産業向けを中心に融資先の選別を強める動きも影響した。主因別では、資金調達環境が悪化するなか、「不況型倒産」の構成比が79.2%の高水準となった。国内景気の後退を反映し、同倒産の構成比は2006年度上半期(74.4%)以降、一貫して高まっている。原料高関連の倒産も上半期だけで341件に急増し、前年同期の122件を大きく上回っており、内需停滞と外需減速が顕著となるなか、企業の収益環境は一段と厳しさを増した。

■2008年の年間合計、前年を大きく上回る1万2500件の見通し

今後は、景気後退と資金調達環境の悪化がさらなる倒産増加を招く悪循環が、加速するおそれがある。国内金融機関の多くは、米リーマングループの倒産で多額の貸倒損失を抱えたうえ、9月末の世界的な株安の影響で保有株式の評価額も減少した。ただでさえ、建設・不動産関連の倒産続発による不良債権の処理損失で経営体力を低下させており、融資姿勢をさらに厳しくする可能性が高い。とくにメガバンクに比べ経営体力に劣る地銀にその懸念が強く、金融庁が貸し渋りに対する監視を強めているが、中小企業のさらなる資金繰り悪化につながりかねない。このほか、巨額粉飾や不祥事発覚から短期間で倒産するケースや、会計処理をめぐる監査法人との対立の末に倒産するケースが期中相次いでおり、今後もこうした流れは続く見込みである。年末にかけては、未曾有の建設・不動産の大型倒産ラッシュの影響が広がる可能性が高いうえ、原料高局面で体力をすり減らしてきた中小企業の倒産増に拍車がかかることが予想される。企業の経営環境が好転する材料にも乏しく、倒産は増加基調を維持しながら推移し、2008年の年間合計は2007年の1万959件を大きく上回り、1万2500件前後となる見通しである。

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