2008年1月報 |
倒産件数は888件、2ヵ月ぶりの前年同月比増加 |
|---|
| 倒産件数 | 888件 | 負債総額 | 3890億6300万円 |
|---|---|---|---|
| 前月比 | 0.3%減 | 前月比 | 5.7%減 |
| 前月 | 891件 | 前月 | 4125億5400万円 |
| 前年同月比 | 5.5%増 | 前年同月比 | 28.8%減 |
| 前年同月 | 842件 | 前年同月 | 5467億9900万円 |
■件数
□ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比増加
倒産件数は888件(前月891件、前年同月842件)で、前月比は0.3%の減少となったものの、前年同月比は5.5%の増加となり、2ヵ月ぶりの前年同月比増加となった。下記グラフから分かるように、倒産件数は一進一退を繰り返しながらベースラインが上昇してきており、増加基調が持続している。
□要因・背景 資源高の影響を受け、“内需関連業種”の倒産が増加
1 建設業、小売業、サービス業など“内需関連業種”の倒産が高水準で推移
2 原油をはじめとする資源価格高騰の影響による倒産が23件発生
3 法改正による規制強化をはじめ経営環境の変化への対応遅れによる倒産が増加
■負債総額
□ポイント 2ヵ月連続の前年同月比減少
負債総額は3890億6300万円(前月4125億5400万円、前年同月5467億9900万円)で、前月比は5.7%の減少、前年同月比も28.8%の減少となった。負債10億円以上の倒産は66件(前月68件、前年同月51件)発生した。
□負債上位の倒産企業
1 (株)東千葉カントリー倶楽部(東京都、ゴルフ場経営、負債508億円)
2 (株)鳩山レイク(埼玉県、ゴルフ場経営、同345億円)
3 楽天メディア・インベストメント(株)(東京都、投資業、同220億円)
■業種別
□ポイント “内需関連業種”を中心に前年同月比増加
業種別に見ると、建設業(243件、前年同月比+3.4%)、小売業(180件、同+14.6%)、サービス業(157件、同+12.1%)など“内需関連業種”を中心に5業種で前年同月比増加となった。建設業は構成比でも27.4%を占め、依然高水準で推移している。一方、卸売業(125件、同▲5.3%)、製造業(110件、同▲1.8%)では前年同月比減少。
□ 要因・背景 個人消費の冷え込みや資源高の影響大きく
1 建設業…「改正建築基準法」の影響広がる(1月は8件)、「脱談合」の影響も続く2 小売業、サービス業…個人消費の冷え込みや価格転嫁の遅れが影響
3 製造業…金属、木材など素材価格の高騰が影響
■主因別
□ポイント 「不況型倒産」が高水準で続く
主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は679件(前月705件、前年同月653件)で、前月比は3.7%(26件)の減少となったものの、前年同月比は4.0%(26件)の増加となった。なかでも販売不振は636件(前月647件、前年同月599件)で、前月比は1.7%の減少となったものの、前年同月比は6.2%の増加となり、依然高水準が続いている。受注減少、単価抑制に苦しむ建設業の倒産が「不況型倒産」の件数を押し上げている。
「不況型倒産」の構成比は76.5%(前月79.1%、前年同月77.6%)で、前月を2.6ポイント、前年同月を1.1ポイントそれぞれ下回った。
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計
■規模別
□ポイント 小規模倒産が引き続き高水準で推移
負債額別に見ると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は549件(構成比61.8%、前年同月比+6.2%)で全体の6割強を占めている。一方、負債10億円以上の倒産は66件(構成比7.4%、前年同月比+29.4%)発生した。資本金別に見ると、個人経営(143件、前月比+5.1%、前年同月比+10.9%)、および資本金1000万円未満(265件、前月比▲6.0%、前年同月比▲0.7%)の小規模倒産が引き続き高水準で推移している。
□要因・背景 資源高の影響や大手企業との競争力の差大きく
1 資源高のなか、販売価格に転嫁できない中小・零細企業の増加
2 大手企業からの値下げ圧力により疲弊する中小・零細企業の増加
3 バブル処理型のような大規模倒産の発生は低水準で推移
■地域別
□ポイント 5地域で前年同月比増加
地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月比増加となり、このうち近畿(257件、前年同月比+17.9%)、中部(92件、同+22.7%)、北陸(30件、同+25.0%)の3地域では前年同月比2ケタを超える大幅増加となった。一方、関東(311件、同▲1.0%)、東北(49件、同▲16.9%)など4地域では前年同月を下回った。
□要因・背景 地方圏では建設業、都市圏では小売業やサービス業の倒産が目立つ
1 公共工事削減の影響が大きい地方圏では、中小建設業者の倒産が増加
2 都市圏では、比較的設立の浅い小売業やサービス業、ベンチャー企業の倒産が目立つ
3 関東・近畿は中小・零細企業の絶対数が多く、全体の件数を押し上げている
■上場企業倒産
□1月は、法的整理による上場企業の倒産は3ヵ月連続で発生しなかった。
□2007年度の上場企業倒産は、(株)ノヴァ(大阪府)が特定商取引法違反により新規勧誘停止などの行政処分を受け、迷走の末に倒産したほか、(株)クレディア(静岡県)は貸金業法の改正や利息過払金返還請求など営業環境が激変するなか法的整理を選択、(株)みらい建設グループ(東京都)は公共工事の削減が大きく影響した。これらの倒産事例は、昨今の大きな特徴であるコンプライアンス(法令順守)違反に対する消費者の厳しい見方や、消費者金融、建設の両業界が法改正などから苦況に立たされている現状を象徴している。
□近年の上場企業倒産は、産業再生機構による私的整理が進んだことなどが影響し、2002年度(22件)をピークに2006年度(3件)まで減少を続けてきた。しかし、2007年度はすでに5件発生しており、今後再び増加基調をたどる可能性も出てきている。
■大型倒産
□1月は、(株)東千葉カントリー倶楽部(負債508億円、東京都)、(株)鳩山レイク(同345億円、埼玉県)のゴルフ場経営2社が多額の負債を抱えて民事再生法を申請したほか、「楽天」100%出資の子会社で投資業の楽天メディア・インベストメント(株)(同220億円、東京都、特別清算)、ICチップ、液晶モジュール製造開発の新潟精密(株)(同151億600万円、新潟県、民事再生法)、酒類ディスカウント店経営の(株)スピード(同105億1700万円、大阪府、民事再生法)と、負債100億円以上の倒産が5件(前月7件、前年同月7件)発生した。総じて大型倒産は減少傾向が続いている。
□2007年度の大型倒産を業種別に見ると、負債上位は、不動産業とゴルフ場経営などのバブル処理型の案件で占められている。しかし、最近では語学スクール最大手の(株)ノヴァ(負債855億円、10月)や、パチンコ店業界第6位の年収入高を誇っていた(株)ダイエー(同636億6000万円、4月)など、実体のある企業の大型倒産も発生している。
今後の問題点
■景気DI、前月比2.8ポイントの大幅減、悪化幅は集計開始以来最大
2008年1月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は35.5で、前月比2.8ポイント減と10ヵ月連続の悪化となった。悪化幅は2002年10月(同2.1ポイント減)以来5年3ヵ月ぶり2回目の2ポイント超えで、集計開始の2002年5月以来最大。景気回復局面入りした直後の2003年8月(34.9)以来の水準まで後退し、足元経済の急減速を裏付けた。
■米景気後退への懸念増幅で製造業の景気牽引力さらに減退
米金融機関が第3四半期決算でサブプライムローンに絡む損失を相次いで追加計上したことで、サブプライム問題による米景気の後退懸念がさらに増幅。これにより、1月末に一時1ドル=105円台に突入するまで円高が進行したほか、世界の主要株式市場も軒並み急落し、幅広い業界で景況感が悪化した。とくに、これまで国内経済を牽引してきた『製造』は4年4ヵ月ぶりに40ポイントを割り込み、景気牽引力がさらに減退した。
■「改正建築基準法」の影響も収束せず
加えて、「改正建築基準法」の施行で急減していた住宅着工はやや回復したとはいえ依然として低水準に変わりなく、『建設』や『不動産』のほか周辺の内需関連業界を中心にマインドが停滞。初売りが全体的に不調に終わるなど個人消費も一向に勢いがみられず、国内外ともにリスクが山積している状況下、業界や企業規模を問わず先行き不透明感が増している。
■倒産件数、2ヵ月ぶりの前年同月比増加
2008年1月の法的整理による倒産は888件発生し、前年同月を46件上回り、2ヵ月ぶりの前年同月比増加となった。2007年12月は前年同月比0.6%減とわずかに下回ったものの、これを除けば、2006年10月以降、すべての月で前年同月を上回っており、増加基調を持続している。一方、負債総額は3890億6300万円で、前月比、前年同月比ともに減少となり、小規模企業を中心に倒産件数が増加する半面、負債規模は縮小を続けている。
■建設業の倒産が高水準続く、「改正建築基準法」関連の倒産は過去最多
倒産が増加基調を持続している主な要因として、建設業の倒産が高水準で推移している点が挙げられる。公共工事削減による全体のパイの縮小や「脱談合」に伴う受注単価の下落に、「改正建築基準法」の影響や資材価格の上昇が追い打ちをかけている。同法改正関連の倒産は集計開始の2007年10月以降で最多の8件発生、累計は22件となった。とくに地場建設業者は依然として厳しい環境にあり、月中、総合建設工事の(株)陰山組(福島県)や解体工事の(株)浦賀興業(神奈川県)、建築工事の藤光建設(株)(神奈川県)など、地場大手・老舗業者が倒産に追い込まれた。
■地場大手、内需関連業種での倒産目立つ
建設業にとどまらず、各業界で地場大手の倒産が相次いでいる。メーカーでは、ICチップ等製造開発の新潟精密(株)(新潟県)。小売業では、酒類ディスカウント店経営の(株)スピード(大阪府)。サービス業では、旅館経営の(株)川治温泉一柳閣本館(栃木県)。これら地方圏の企業を中心に、倒産全体の約7割を占める建設、小売、サービス、不動産など、いわゆる“内需関連業種”で倒産が増加し、全体の増加基調を持続させる要因となった。また、1月は昨年末から休業中だった(株)船場吉兆(大阪府)が、偽装発覚から3ヵ月で民事再生法を申請。このほか、食肉卸の(株)村食(香川県)や通信販売のシーマ(株)(東京都)も不正発覚をきっかけに倒産しており、「偽装表示関連」の倒産が月中5件発生した。法令順守に対する消費者の目が厳しくなるなか、これらの倒産は「ひとつの不祥事発覚が経営の命取りとなる」という最近の特徴を端的に表す事例となった。
■年度件数は、昨年度を大きく上回り、1万件を突破する見通し
足元経済の急減速が鮮明となるなか、企業の経営環境は一層厳しさを増す可能性が高い。「改正建築基準法」の余波が続く建設、不動産業界。食品偽装の相次ぐ発覚や主要消費財の値上げ表明を受け、個人消費のさらなる悪化が懸念される小売、サービス業界。現状の倒産増加を牽引するこれら“内需関連業種”の多くは、原油高、資材高ですでに体力をすり減らしており、国内景気の一段の悪化は致命傷となりかねない。これに、円高進行に伴う収益悪化が懸念される中小製造業者の倒産が上乗せされれば、倒産はさらに増加基調を加速する懸念もある。政府は昨年末発表の建築関連の中小企業への緊急支援策に続き、地域における新事業や企業再建等への資金を供給する「挑戦支援資本強化特例制度(仮称)」の4月創設を打ち出しているが、「責任共有制度」や「改正貸金業法」の影響が水面下で進行するなかで、中小・零細企業の資金調達環境が劇的に改善する要因になるとは考えづらい。すでに2007年4月〜2008年1月の倒産の累計は9271件を数えており、2007年度は昨年度の9572件を大きく上回り、1万件を突破する見通しである。

