2007年度報 (2007年4月1日〜 2008年3月31日) |
倒産件数は1万1333件、前年度比18.4%の大幅増加 負債総額は5兆5322億8600万円、前年度比5.2%の増加 |
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| 倒産件数 | 1万1333件 | 負債総額 | 5兆5322億8600万円 |
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件数推移グラフ
負債総額推移グラフ
■件数
ポイント 1万1000件を突破、前年度比18.4%の大幅増加
2007年度の倒産件数は1万1333件となり、前年度(9572件)を18.4%(1761件)上回った。月別推移を見ても、2007年5月と10月に1000件を突破。その後、2008年3月には1127件発生、集計対象変更の2005年4月以降で最多となり、年度末にかけて倒産は増加基調を強めた。
要因・背景 原料高や法改正の影響を受け、“内需関連業種”の倒産が増加
1 建設、小売、サービスなど内需関連の幅広い業種で倒産が増加
2 原料高関連の倒産が、前年度比2倍超の299件(前年度142件)に急増
3 「改正建築基準法」の影響による倒産は、集計開始から6ヵ月の累計で52件発生
■負債総額
ポイント 前年度比5.2%の増加
2007年度の負債総額は5兆5322億8600万円となり、前年度(5兆2565億1500万円)を5.2%(2757億7100万円)上回った。しかしながら、負債100億円以上の倒産は69件(前年度82件)にとどまり、総じて大型倒産は低水準で推移した。
要因・背景
1 旧・住専の大口融資先で賃貸ビル経営の麻布建物(株)(東京都、負債5648億円、8月)が、2007年度最大の負債を抱えて倒産したことで負債規模膨らむ
2 バブル処理型の案件が一巡したこともあり、大型倒産の発生は減少傾向
■業種別
ポイント すべての業種で前年度比増加
業種別に見ると、7業種すべてで前年度比増加となった。業界環境の悪化が深刻な建設業(3043件、前年度比+14.2%)や、個人消費の低迷の影響を受けている小売業(2140件、同+28.1%)が目立つ。
要因・背景 原料高の影響を受け、内需関連の幅広い業種で倒産増加
1 建設業・・・資材価格の高騰に加え、下半期以降は「改正建築基準法」が影響
2 小売業・・・原材料高や個人消費の冷え込みに加え、周辺大型商業施設との競合も
3 サービス業・・・建築設計やソフトウエア、広告代理店、ホテル・旅館などが目立つ
■主因別
ポイント 「不況型倒産」が大幅増加
主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は8779件(前年度7208件)となり、前年度を21.8%(1571件)上回った。構成比は77.5%(同75.3%)で、2.2ポイント増加した。
要因・背景 個人消費の低迷から、販売不振による倒産が増加
1 受注工事減少により建設業者が、個人消費の低迷により小売、サービス業者の倒産が増加
2 資金計画の行き詰まりにより、設備投資や経営計画の失敗による倒産も増加傾向
■規模別
ポイント 小規模倒産が大幅増加
負債額別に見ると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は6798件で、前年度を20.6%(1161件)上回り、全体の約6割を占めた。年度末にかけては中規模クラスの倒産も散発し、負債10億円以上50億円未満の倒産は618件発生、前年度比21.4%(109件)の増加となった。資本金別に見ると、個人経営(1819件、前年度比+36.4%)、資本金1000万円未満(3599件、同+22.3%)の小規模倒産が大幅増加となった。
要因・背景 価格転嫁と競争激化に苦しむ中小・零細企業が増加
1 原料高を背景に、大手企業や同業者との価格競争に疲弊する中小・零細企業の倒産が増加
2 年度末にかけては、建設や不動産を中心に中規模企業の倒産も散発
■地域別
ポイント すべての地域で前年度比増加
地域別に見ると、9地域すべてで前年度を上回った。このうち近畿(3133件、前年度比+24.1%)、中部(1195件、同+20.3%)、九州(887件、同+28.2%)、北陸(384件、同+27.6%)の4地域では前年度比20%を超える大幅増加となった。
要因・背景 地方圏は建設業、都市圏は小売業やサービス業の倒産が目立つ
1 公共工事削減の影響が大きい地方圏では、中小建設業者の倒産が増加
2 都市圏では、比較的設立の浅い小売業やサービス業、ベンチャー企業の倒産が目立つ
■態様別
ポイント 民事再生法が大幅増加
態様別に見ると、破産は1万259件(前年度8640件)で前年度比18.7%(1619件)の増加となり、全体の倒産件数を押し上げる大きな要因となった。民事再生法は712件に急増し、前年度比21.1%(124件)の大幅増加となった。
要因・背景
1 破産は、少額管財手続きの浸透により申し立て件数が増加
2 民事再生法は、中堅クラスの倒産散発、個人経営業者の申請増加
■業歴別
ポイント 業歴30年以上の「老舗倒産」が全体の3割に迫る
業歴別に見ると、業歴30年以上の「老舗倒産」は3353件(前年度2747件)発生し、構成比は29.6%で全体の3割に迫った。一方、業歴3年未満の企業の倒産は424件発生し、前年度比34.6%(109件)の増加となった。
要因・背景
1 過剰債務と本業不振に苦しむ老舗企業の増加
2 資産背景に乏しく、事業資金確保につまずく業歴の浅い企業やベンチャー企業の増加
■上場企業倒産
2007年度の法的整理による上場企業倒産は、東証1部上場の(株)クレディア(静岡県)など7件発生し、前年度(3件)を133.3%(4件)上回った。
近年の上場企業倒産は、2002年度(22件)をピークに減少が続いていたが、2007年度に入り、法改正による規制強化や個人消費の停滞を背景に、増加に転じている。
■大型倒産
2007年度の大型倒産で負債額トップは、旧・住専の大口融資先で賃貸ビル経営の麻布建物(株)(東京都、負債5648億円)。次いで、麻布建物(株)の100%出資子会社、六本木開発(株)(東京都、負債1340億円)。
前年度に続き、上位30社はゴルフ場経営や不動産業のバブル処理型の案件が大半を占めているが、2007年度は実体のある企業の大型倒産も散発している。
■注目の倒産動向
原料高関連
2007年度の原料高関連の倒産は299件(前年度142件)となり、前年度比110.6%(157件)の増加で、前年度の2倍超に急増した。
改正建築基準法関連
改正建築基準法関連の倒産は、集計を開始した2007年10月から2008年3月までの6ヵ月の累計で52件となった。
ガソリンスタンド
2007年度のガソリンスタンドの倒産は51件(前年度28件)で、前年度比82.1%(23件)の増加となった。
パチンコ店経営
2007年度のパチンコ店経営業者の倒産は81件(前年度54件)となり、前年度比50.0%(27件)の大幅増加となった。
今後の見通し
■3月の景気DI、前月の改善分をほぼ帳消し、年度ベースで9.9ポイントの大幅悪化
2008年3月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.5ポイント減の35.6となった。11ヵ月ぶりの改善となった前月の改善分(0.6ポイント)をほぼ帳消しにし、足元経済が停滞していることが裏付けられた。2007年度としては前月比で改善したのは2008年2月のみで、2007年3月の45.5から9.9ポイントの大幅悪化となった。
■米景気への懸念再び増幅、ドル急落や原油高、政治不信も景況感を押し下げ
米雇用統計の大幅悪化や、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機の表面化により金融不安が再燃したことなどで、一旦後退していた米景気への懸念が再び増幅。また、これに伴って為替市場で一時1ドル=95円台までドルが急落したことも重なり、輸送用機械や電機など外需関連を中心に幅広い業界で景況感が大きく後退した。加えて、NY原油相場(WTI、期近)が3月中旬に一時1バレル=110ドルを突破するなど原油高に歯止めがかからず、運輸業界や鉄鋼関連業界などの景況感を押し下げた。このほか、機能不全に陥っている政治への不信も、企業の景況感にマイナスに作用した。
■内需関連業界への年度末需要、「改正建築基準法」などの影響で打ち消し
例年、3月は年度末需要で内需関連業界を中心に景況感が改善する傾向にあるものの、「改正建築基準法」施行などによる影響が尾を引いて『建設』、『不動産』ともに改善には至らず、地方圏の小規模な内需関連企業を中心に1年を通して厳しい環境が続いた。
■倒産件数1万1000件を突破、前年度比18.4%の大幅増加
2007年度の倒産は1万1333件発生し、前年度の9572件を1761件上回り、18.4%の大幅増加となった。月ベースの推移を振り返っても、2007年5月の1016件、10月の1083件と、集計対象変更後の2005年4月以降で最多の件数を2度更新。その後年末にかけて、政府による中小企業向け資金繰り支援策の効果もあり一時的に倒産は抑制されたが、2008年に入り再び、建設、小売業を中心に増加基調を強め、年度末の3月は1127件発生し、最多の件数をさらに更新した。また、負債総額は5兆5322億8600万円で前年度比5.2%の増加となった。近年の負債規模の縮小傾向に大きな変化はないが、8月に旧・住専の大口融資先、麻布建物(株)(東京都)が年度最大の負債5648億円を抱えて倒産したことが影響し、前年度を上回った。
■中小・零細企業の収益環境悪化し、倒産増加
倒産が増加した大きな要因は、中小・零細企業の収益環境の悪化にある。中小企業の多くは2002年から続く景気拡大局面においても、大企業との力関係から景気回復の恩恵を受ける機会に乏しく低収益でギリギリの経営を強いられ、大企業の好業績を陰で支えてきた。この間、厳しい環境に耐えていた零細業者がここにきて力尽きている。これらの業者を倒産に追い込む最後の“ダメ押し”となったのが、各産業に深刻な影響を与えている「原料高」「資材高」であり、改正建築基準法施行に伴う関連業界の混乱であり、企業を取り巻く資金調達環境の悪化であった。これらの複合的な要因の影響を最も受けたのが建設業界で、地場大手や中堅クラスの倒産も散発、建設業者の倒産は3043件発生し、前年度比14.2%の増加となった。
■建設、不動産、貸金業界で上場企業倒産が発生
こうしたなか、前年度は3件にとどまっていた上場企業の倒産が7件に増加した。消費者金融の(株)クレディア(静岡県、9月)、建設事業を手がける企業グループの持ち株会社・(株)みらい建設グループ(東京都、9月)、不動産業の(株)レイコフ(大阪府、3月)グループなど、法改正による規制強化の影響が懸念される貸金、建設両業界のほか、サブプライムローンに端を発した市場環境の悪化が懸念される不動産業界で象徴的な上場企業倒産が発生した。また、牛肉ミンチの偽装で全国に衝撃を与えたミートホープ(株)(北海道、7月)、「円天市場」の(株)エル・アンド・ジー(東京都、11月)、高級料亭の船場吉兆(株)(大阪府、1月)など、相次ぐ食品偽装や巨額の詐欺事件等のコンプライアンス違反行為の発覚に伴う大型倒産も散発した。
■2008年度も小規模倒産を中心に、高水準で推移する見通し
今後は、年度末にかけて大型倒産が散発した不動産業界に象徴されるように、サブプライム問題で多額の損失を被った金融機関の融資姿勢が注目される。2007年度の全国の信用保証協会による代位弁済額が増加基調に転じるなか、すでに不動産業やノンバンク向け融資の選別を強める動きも一部でみられる。消費者金融のアエル(株)(東京都)は、改正貸金業法の影響に加え、金融機関からの引き締めが厳しくなり、3月に2度目の法的申請に追い込まれた。改正貸金業法や改正建築基準法の影響を受けた倒産増が予想されるうえ、円高、株安、原油高のほか、食料品や日用品の値上げによる個人消費の減速も今後の懸念材料である。当面は、暫定税率の期限切れに伴い道路予算の執行見送りの影響が心配される建設業界をはじめ、業界別では不動産、貸金業、個別業種では、4月以降の値下げ競争に伴う淘汰が予想されるガソリンスタンド経営業者の動向に注目が集まる。引き続き企業収益をさらに悪化させるリスク要因が山積しており、2008年度も小規模倒産を中心に、増加基調を強めながら高水準で推移する見通しである。
参考値について
数値はすべて法的整理のものですが、2005年3月までの旧基準では、任意整理へ至った時点でも集計対象としていたので、2001年1月〜2005年3月の値には「月をまたいで任意整理から法的整理へ移行した企業」は含まれていません。これに対して、2005年4月以降の新基準では、法的整理へ至った時点ではじめて集計対象となりますので、2005年4月以降の値には「月をまたいで任意整理から法的整理へ移行した企業」も含まれています。このように、両者を単純に比較することはできませんが、おおまかなトレンドを把握するために、2005年3月以前の旧基準のデータを参考値として表記しています。

