2011年12月13日
TDBマクロ経済見通し−2011・2012年度改訂−2011年12月− |
2011年7〜9月期GDP統計2次速報の公表をうけ、帝国データバンクは2011・2012年度のマクロ経済に関する見通しを改訂しました。
名目成長率 2011年度▲2.0%、2012年度+2.0%
実質成長率 2011年度▲0.2%、2012年度+2.2%
〜 消費が底堅く推移するものの、2年ぶりのマイナス成長に転じる 〜
震災から9カ月が経過し企業の生産活動に回復がみられる一方で、円高の長期化やタイの洪水被害、不安定な欧米の景気動向などが日本経済の懸念材料となっています。12月9日に内閣府から発表された国内総生産(GDP)2次速報によると、2011年7〜9月期の日本経済は4〜6月期と比べて+5.6%(年率)となり、3四半期ぶりのプラス成長でした。
帝国データバンクでは、この結果や前回のマクロ経済見通し(11月16日)以降に発表された各種経済指標の動向を踏まえて、2011・2012年度マクロ経済見通しの見直しを行いました。なお、2次速報ではGDPの推計方法や算出する範囲、基準年などが変更されたことで、成長率などが過去にさかのぼり大幅に改定されました。そのため、今回の見通しは、統計上の要因も含めて、前回から下方修正しています。
予測のポイント
2011年度の実質GDP、震災の影響で実質、名目ともにマイナス成長の見通し
2011年度の日本経済は東日本大震災の影響によりマイナス成長となりますが、震災対策による公的需要のほか、生産の急回復や底堅い個人消費、住宅投資など、内需が支える1年になる見通しです。ギリシャを発端とするソブリン・リスクが欧州連合(EU)各国にも波及し、さらに中国もインフレ傾向が強く緊縮的な金融政策を継続せざるを得ない状況が続いています。ただ、緩やかな成長は遂げられるとみられるため、輸出はわずかながらプラスを維持すると予測されます。また、欧州においてイギリスを除くEU加盟26カ国で財政規律を強化する新しい条約を締結する動きも出ており、徐々に制度面からの対応が行われつつあるのは好材料です。一方、震災による国内供給力の低下や、その後の復旧過程における生産回復などで輸入は増加するとみられます。設備投資は震災で寸断されたサプライチェーンが急回復を遂げるものの、円高や海外経済の回復が弱まっていくことから2年ぶりの減少に転じると予測されます。個人消費は家電エコポイントやエコカー補助金の効果が剥落、また、雇用・所得環境の厳しさの継続や震災後の自粛ムードなど悪化要因が多かったものの、夏には節電や省エネ対策製品のほか、外食やレジャーなどサービス関連消費が伸びました。さらに消費マインドも徐々に緩和していくとみられ、個人消費はわずかながらプラスの伸びを維持すると予測されます。住宅投資は政策的な金利優遇策や住宅購入資金にかかる贈与税非課税枠拡大の効果などプラス材料は多くあります。さらに震災対応にともなう住宅再建も見込まれるため2年連続で増加するとみられます。震災対策では公共投資が7〜9月期にマイナスとなったものの、年度前半の復興投資や2011年度第3次補正予算の前倒し執行などにより、年度後半は再び増加すると予測されます。ただし、第3次補正予算の本格的な執行は2012年4月以降になるとみられます。
2012年度、震災復興が本格化するなか、設備投資や個人消費が拡大傾向を示し、再び成長過程に向かう
2012年度は外需が再びプラス寄与に転じることに加えて、財政支出にともなう公的需要の拡大のほか、震災復興の本格化などで設備投資が成長に寄与する見通しです。また、個人消費も再び拡大傾向を示すとみられるなど、日本経済は再び成長過程に向かうと見込まれます。震災復興に対する財政支出は2012年度も継続して実施され、また2011年度第3次補正予算の執行も本格化するとみられるため、公共投資、政府支出ともに引き続き拡大すると予測されます。震災により被害を受けていた生産設備が復旧し、さらに海外経済にも支えられて輸出は増加すると予測されます。一方、設備投資は被災した設備の再建や過去に行われた投資の更新需要などが重なり2年ぶりにプラスに転じるとみられます。ただ、円相場の動向や欧州財政危機の進展具合で輸出環境が大きく変わりうることは懸念材料です。設備投資の拡大は可処分所得の増加や消費マインドの改善などをもたらし、個人消費は安定した伸びを示すと見込まれます。また、長期金利の低下や震災からの復興で住宅建設の増加が見込まれることから、住宅投資は2年連続で拡大するとみられます。
震災復興に対する第3次補正予算に加えて、復興費用を賄う臨時増税や復興債の発行を盛り込んだ復興財源確保法も成立するなど、遅ればせながら復興に向けた執行体制が整い始めました。しかし、同時に税と社会保障の一体改革では消費税の増税が議論の中心となっており、今後の国民負担の増大は大きな懸念材料となってきます。日本経済の短期的・長期的回復に対する成長戦略が一段と重要になります。
詳細は発表資料(PDF 478KB)をご覧ください。
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