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新たな指標「ネオGDP」



GDP(国内総生産)は、国の経済状況を図る指標として広く認知されています。この値の算出には、政府統計の産業連関表が基礎資料の一つとして用いられていますが、「即時性がない」「地域別にみられない」「個別のデータまで掘り下げられない」などの課題があります。

東京工業大学帝国データバンク先端データ解析共同研究講座では、帝国データバンクの企業データを用いて、これら課題に対応することのできる「TDB版産業連関表(*1)」を開発し、企業活動から算出する新たな指標「ネオGDP(*2) 」を算出しました。

従来の「GDP」と「ネオGDP」の差

従来の「GDP」と「ネオGDP」比較


上のグラフは、新たに開発した「ネオGDP」と、内閣府が算出している従来のGDPを比較したものです。「ネオGDP」は、従来のGDPよりも経済動向に対する感応度が高いことがわかります。従来のGDPとは異なる目線で実態経済を観測することができる指標であるといえます。

「ネオGDP」で 地域差を把握する

都道府県別にネオGDPを算出した際の2011年から2014年にかけての成長率を見ると、東京都の伸び率が3%に対し、福島県は28%、宮城県は11%、岩手県は18%の伸び率となっています。これは、2011年の東日本大震災による復興交付金の注入や、それに伴う建設特需の影響で被災3県の伸び率が高くなったという特徴が見られます。また、同じ四国であっても、香川県や高知県が大きく経済成長した一方で、徳島県や愛媛県が大幅なマイナス成長と、近隣地域によっても経済成長率に格差が存在していることがわかります。

「ネオGDP」で 産業・企業の特徴を把握する

2011年から2014年の成長率が北関東3県内で最大だった群馬県について、その成長要因を分析します。2014年、群馬県のGDPの約35%を占める製造業の中で、最も高い成長率を示したのは「輸送用機械器具製造」でした。 そこで、「輸送用機械器具製造関連」の活性度合いが高い市を探すと、太田市が最も高い成長率を記録しています。その要因をさらに細かいデータから見ると、太田市には、富士重工業を主要得意先とする製造業者が39社あり、その約80%にあたる30社が売上高を上昇させていることが分かります。太田市は、富士重工業の企業城下町であり、富士重工業の好業績を受けて成長し、群馬県の製造業全体に大きく寄与していることがわかります。

新たな指標の活用

上記の群馬県と太田市の例のように、「ネオGDP」の伸び率を切り口に分析していくと、どの大企業と取引している企業が地域の成長に寄与しているのか、またどの業界の動向が地方経済に影響を及ぼしているかなどの実態が見えてきます。つまり、地域経済を活性化させるべき業界を明らかにして、多面的な意思決定に活用することができるのです。


*1 T.Ohsato, K.Akagi, and H.Deguchi, Input-Output Table constructed with private business establishment on company information data. The Japanese Society for Artificial Intelligence, 2016
*2 M.Takayasu, et al., In preparation




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